定年が近づいてくると、会社型や個人型確定拠出年金の受け取り方をどのようにすればいいのか迷う方もいるでしょう。
今回は確定拠出年金を受け取るタイミングや受け取り方法について解説しますので、これまで積み立ててきた確定拠出年金を無駄にしないよう、自分に合ったタイミングや方法で受け取りましょう。
確定拠出年金を受け取るタイミング
これまで積み立ててきた確定拠出年金を受け取るタイミングは、大きく4つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.一定の年齢に達したとき
確定拠出年金は、老後資金として積み立ててきたもので、60歳〜75歳までの間であれば自分の好きなタイミングで受け取ることができます。
ただし、これは加入期間が10年以上の場合であり、加入期間が短いほど受け取れる年齢は遅くなります。
具体的には次表の通りです。
通算加入者期間 受給可能な年齢
- 10年以上 :60歳
- 8年以上 :61歳
- 6年以上 :62歳
- 4年以上 :63歳
- 2年以上: 64歳
- 1ヶ月以上 :65歳
なお、受け取りの際は、手続きに1〜2ヶ月程かかることを覚えておきましょう。
2.要件を満たして引き出しを希望したとき
要件を満たして、引き出しを希望したときも確定拠出年金を受け取れますが、要件は非常に厳しく簡単には受け取れないと考えておきましょう。
企業型確定拠出年金に加入していた場合
個人別管理資産額によって要件が異なりますが共通している要件は次の2つです。
- 企業型確定拠出年金の加入者・運用指図者、iDeCoの加入者・運用指図者でないこと
- 最後に企業型確定拠出年金の資格を失った日の翌月から6ヶ月経っていないこと
※個人別管理資産額が1.5万円を超える場合にはさらに詳細な要件が追加されます。
iDeCoに加入していた場合
上記の要件に加えて、下記が追加されます。
- 最後に企業型確定拠出年金またはiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること
iDeCoに加入できない者とは、国民年金第1号被保険者で、国民年金保険料の全額または一部を免除されている、もしくは納付猶予を受けている人のことです。
これは収入が苦しい場合のみ該当するため要件に該当する方はかなり限られるでしょう。
3.一定の障害状態になったとき
病気やケガなどで、高度障害の要件に該当した場合は障害給付金として受け取れます。
- 障害基礎年金の受給者(1級および2級の者に限る)
- 身体障害者手帳(1級~3級までの者に限る)の交付を受けた者
- 療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者
- 精神障害者保健福祉手帳(1級および2級の者に限る)の交付を受けた者
4.死亡したとき
加入者が亡くなったとき、遺族が死亡一時金を請求することができます。
加入者が事前に受取人を指定していた場合は、その方が受け取れます。もし、指定がなかった場合は、次の順位で受取人となります。
- 配偶者(死亡の当時、事実婚や同様の事情にあった人も含む)
- 子、父母、孫、祖父母、および兄弟姉妹であって、死亡の当時、主としてその収入によって生計を維持していたもの
- 2のほか、死亡の当時、その収入によって生計を維持していた親族
- 子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であって、2.に該当しない人
もし加入者が亡くなってから5年間請求されない場合、受け取る方がいないものとして、亡くなった方の相続財産とみなされます。
そうなると、遺産分割の対象となり亡くなった方の他の資産と同様に扱われることを覚えておきましょう。
https://nisa-ideco-soudan.ashitaba-mirai.jp/2023/05/04/ideco_sibou/
確定拠出年金の受け取り方法
通常であれば3パターンの受け取り方法があります。それぞれ詳しくみていきましょう。
一時金として受け取る
一時金とは、これまで運用してきたお金をまとめて受け取れる方法です。
まとまった資金が手に入るため、お金の使途の選択肢が増える点が特徴といえます。
しかし、計画的に使わなければ、せっかくの資金も使い果たしてしまうことになりますので老後生活をどう過ごしていきたいか、ライフプランを考えて大切に使いましょう。
年金として受け取る
年金では、分割して少しずつ受け取ることができます。
老後は収入が減ることが予想されるため、家計の安定につながる点は安心できるでしょう。
一時金と年金を組み合わせて受け取る
一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。
例えば、一時金として受け取った分を住宅ローンの返済にあてて完済し、年金として受け取る分を老後の生活費にあてるといったことができます。
※金融機関ごとに取り扱いは異なります
確定拠出年金を年金で受け取るときのポイント
確定拠出年金を年金で受け取る際、考えなければならないポイントが2つあります。
1. 何年に分けて受け取るか
年金を受け取れる期間は、5〜20年の間となっています。
金融機関によって異なりますが、5・10・15・20年の中から選ぶか、1年単位で指定できるかの2つのパターンに分かれます。
受け取る期間を長くするほど、1回で受け取れる金額は少なくなりますが、家計は安定します。
反対に短くすると、1回で受け取れる金額は多くなりますが、老後の生活費が足りなくなる可能性もあります。
2.年に何回に分けて受け取るか
こちらも金融機関によってさまざまですが、年に1回、2回、4回、6回などから選べます。
一部では、毎月受け取れる金融機関もありますが、振り込み手数料の約400円を負担しなければなりません。
また、運営管理機関や事務委託先金融機関への手数料がかかる場合もありますので手数料にも気を付けながら回数を決めましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談して自分に合った受け取り方を決めよう
老後のプランに合わせて、自由に組み合わせることができますが、自分で決められると言っても、どの方法を選ぶべきかわからないというケースもあるでしょう。
当センターでは、確定拠出年金やNISAなどの資産運用に関する相談を受け付けています。
「どの受け取り方がいいのかわからない」「受け取る期間や回数に悩んでいる」など、確定拠出年金でお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
一人ひとりに合わせ、最適なプランをご提案させていただきます。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部