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iDeCoをやるべき人とは?得する人と損する人の見分け方

iDeCoは老後資金作りに有用な手段ですが、誰にでも有効なのかと疑問に思っている方もいると思います。

そもそもiDeCoをやるべき人とはどのような人なのでしょうか?

この記事では、iDeCoで得をする人と損をする人の見分け方を解説します。

iDeCoで得をする人・損をする人

iDeCoは老後資金の準備をしながら節税もできるため、税金面の観点からはメリットが大きいといえるでしょう。(ただし、専業主婦・主夫など所得がない場合はこの限りではありません。)

しかし、利用すれば誰もが等しく得をするという制度ではないので、なかには運用に気を付けないといけない人もいます。

では、どのような人が得をし、損をするのか、ここではそれぞれ具体的な例を挙げて解説します。

iDeCoで得をする人

iDeCoで得をする人は、簡単にお伝えすると「長期運用ができる現役世代」です。

iDeCoは長期運用するほど複利効果が高くなり、同時に収入に対する節税効果も大きくなります。つまり、お金を増やしつつ、節税することにより手元の資金も守ることができます。

では、具体的にどのような人が当てはまるのか、3つのケースを紹介します。

①長期運用が可能な年代の人

iDeCoの掛金は複利運用が基本であるため、長く運用するほど効果が高くなります。

iDeCoを利用して投資できる年齢は65歳になるまでと決められているため、若いうちに始めるほど多くの資金を用意できる傾向にあります。

例えば、複利3%で月2万円の積み立てた場合を、10年・20年・30年で比べてみましょう。

複利3%で毎月2万円、10年・20年・30年積み立てた場合の比較

積み立てた年数 総積立額(円) 運用益(円) 合計(円)
10年 2,400,000 395,838 2,795,838
20年 4,800,000 1,753,211 6,553,211
30年 7,200,000 4,402,805 11,602,805

年数が多いほど、運用益の増え方が大きくなっていることが分かります。

20年と30年は倍以上の差があり、10年と30年では10倍以上の差です。

②(働いている)現役世代

現役世代は、教育費や住宅ローンといった費用の負担が大きく、減税効果の恩恵は決して小さくありません。

減税の効果は所得額と掛金額によって異なりますが、ここで一例を見てみましょう。

30歳会社員(年収500万円)が60歳まで月2万円積み立てた場合

  • 月の掛金額:20,000円
  • 年間積立額:240,000円
  • 年間減税額:48,000円
  • 60歳までの減税総額:1,440,000円

月2万円積み立てると、年間4万8,000円、60歳までに144万円の減税が可能です。

長期間積み立てた場合の複利効果が大きいのはもちろんですが、1年目から5万円近い減税効果を受けられる点も見逃すことはできませんね。

③余剰資金が多い人

年収が比較的多く、余剰資金が多くある場合、あえてiDeCoの掛金額を多くして所得税と住民税を節税することも一つの手です。

住民税は所得額が変わっても税率が変わりませんが、所得税は累進課税という「所得が増えるほど税率も上がる」制度です。

税率は以下の区分で設定されているため、所得額を減らすことが大きな効果につながる場合があります。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円  

特に、所得額がそれぞれの税率の境界付近なら、iDeCoへの加入を積極的に考えたいところです。

例えば、所得が334万円の人が、iDeCo掛金の所得控除を適用して所得が324万円になったとします。

334万円のときは税率10%ですが、324万円なら税率は5%となり、iDeCoに加入することで適用される税率を下げる効果があるとわかります。

iDeCoで損をする人(資産形成効果が薄い人)

iDeCoを使ってリスクのある投資商品を購入すると、投資リスクは当然考えられます。

そのほかにも、「iDeCoに加入することで損しないのか」と気になる人はいることでしょう。

ここでの「iDeCoで損をする」というのは、「iDeCoに加入することによる資産形成効果が薄い人」と考えた方が適切でしょう。

では、どのようなケースが考えられるのか、ここでは代表的な2つのケースを紹介します。

①運用期間が短い人

所得税・住民税の額や税率が低い人は、所得控除の効果が薄いです。

特に、元から所得税・住民税がかからない「非課税」の人は、所得控除をしてもそれ以上税額・税率が下がらないため、効果がありません。

もし、夫婦そろってiDeCoを検討するような場合は、所得が多い方のiDeCo掛金をあえて多くし、節税効果を十分発揮できるバランスを検討するとよいでしょう。

老後に備えたい現役世代こそiDeCoの活用を

iDeCoは長期運用するほど大きな効果を発揮する制度です。

複利効果による効果的な資産運用と、所得税・住民税に効果がある掛金の全額所得控除の両方を十分活かしたいなら、早めに始めることをおすすめします。

特に、「老後に備えたい」という悩みと「お金がない」という両方の悩みを抱えている現役世代は、iDeCoの効果を一番受けられる世代。

老後に備えながら、同時に節税による収入増も狙うことができ、いわば一石二鳥といえるでしょう。

当センターでは、「iDeCoをやるべきなのか」といった疑問にも詳しくお答えし、個別ケースについてしっかりとご相談頂けます。

インターネット上にある情報を全て鵜呑みするのではなく、まずはFPに相談し、ご自身のケースで「iDeCoをやるべきなのか」どうか判断してください。

筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部