職場のDC

DC(企業型確定拠出年金)とDB(確定給付企業年金)の違い

人生100年時代と言われる今、老後の資産形成は目を逸らすことのできない課題です。

今回は企業年金制度である企業型確定拠出年金(DC)と確定給付企業年金(DB)の違いを解説します。

両制度の違いを知った上で、制度をうまく活用しながら老後に備えましょう。

DC(企業型確定拠出年金)とDB(確定給付企業年金)をおさらい

DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が従業員のために設ける年金制度の一つで、企業が掛金を支払い、加入者である従業員が資産を運用します。

企業型確定拠出年金(DC/401k)を分類すると?企業型確定拠出年金を導入する企業が増えている一方で、制度の概要をよく理解しないまま加入している人も少なくありません。今回は企業型確定拠出年金(DC)の分類をテーマに詳しく解説します。...

一方のDB(確定給付型企業年金)とは、企業や公的機関が従業員のために提供する年金制度です。

企業が掛金を拠出する点はDCと同じですが、生命保険会社や信託会社などが管理・運用をおこなう「規約型」と企業年金基金が管理・運用をおこなう「基金型」の2種類がある点が特徴といえます。

DC(企業型確定拠出年金)とDB(確定給付企業年金)の違い

DC(企業型確定拠出年金)とDB(確定給付型企業年金)の違いを表に整理すると、以下の通りです。

DC(企業型確定拠出年金) DB(確定給付企業年金)
受け取れる金額 運用成果で変化する 確定している
運用者 自分で運用する 企業が運用する
離職・退職時の資産の扱い 原則60歳まで引き出せない 一時金として受け取れる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

受け取れる金額

DC(企業型確定拠出年金)は、受け取れる金額が運用成果によって変化します。

運用次第で非常に大きな金額を受け取れる可能性もあれば、元本が割れることもあるでしょう。

そのため、DC(企業型確定拠出年金)に加入する際には、運用リスクを十分に理解しておくことが重要です。また、運用リスクを減らすためにも、リスク分散を意識して、さまざまな資産に投資しましょう。

一方、DB(確定給付型企業年金)は受け取れる額が確定しています

なぜならDB(確定給付型企業年金)は加入者である従業員の勤続年数に基づいて将来の年金給付額が計算されるためです。

あらかじめ受け取れる金額がわかっているため、将来の生活設計が立てやすくなるという点で、安心感があります。

資産運用

DC(企業型確定拠出年金)は、加入者である従業員が自分自身で運用できます。

自分で投資方針を決め、運用商品を選ぶことが可能です。選べる商品は企業によって異なりますが、リスクとリターンの異なるさまざまな運用商品が用意されているため、自分のリスク許容度に合わせて選べる点もメリットといえます。

適切な運用のためには、基本的な知識市場の動向に関する理解が求められます。

積極的に情報を収集したり、専門家からのアドバイスを受けたりとご自身で行動しましょう。

一方、DB(確定給付型企業年金)は企業が管理・運用を行うため、投資商品を選ぶ必要がありません。

また、将来受け取れる金額も決まっているため、リスク管理や資産配分について悩むこともなくなります。

投資に慣れていない人やリスクを取りたくない人にとっては、魅力的な制度ともいえるでしょう。

ただし、DB(確定給付型企業年金)運用状況がわかりにくい点がデメリットです。

加入者が商品を選択したり、売買したりといった手続きがない分、運用状況や投資成果について詳しい情報を把握することができません。

そのため、企業からの情報はきちんと確認し、運用状態をチェックしましょう。

離職・退職時の資産

DC(企業型確定拠出年金)は、原則として60歳まで引き出せないため、教育費や住宅の購入など、大きな出費には対応できません。

DC(企業型確定拠出年金)と並行して貯蓄や他の資産形成も同時に実践し、将来に備えたマネープランを立てましょう。

ただし、加入者が障害基礎年金の対象となる障害となったり、亡くなったりしたときは60歳未満で受け取ることができます。

転職時は、現在の企業型確定拠出年金の資産を新たなDC(企業型確定拠出年金)に移行できます。

またDCがない場合でも、個人型確定拠出年金(iDeCo)DB(確定給付型企業年金)に移行可能です。

なお、勤続年数が3年未満の場合には、掛金の全額、もしくは一部を一部の勤務先に返還するよう決められている場合がありますので事前に企業の担当者に確認しましょう。

一方、DB(確定給付型企業年金)は中途退職し、年金を受け取る要件を満たしていない場合でも、一時金として受け取ることが可能です。

しかし、加入期間が3年以下の場合には受け取れないとする規約もあるため、事前に確認しましょう。

違いを知って自分に合った年金制度を選ぼう

DCとDBは似たような名称の制度ですが、中身は大きく違います。

企業の中にはDCとDBを併用するケースもあり、違いをよく把握したうえで制度を活用しましょう。

とはいえ、「自分で判断するのが難しい」「DCやDBに加入した方がいいのかわからない」などといった悩みもあるでしょう。

各種企業年金制度に関して悩みや疑問をお持ちの際は、ぜひ当センターまでご相談ください。

お一人お一人に合わせた資産形成を一緒に考えていきましょう。

執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集