iDeCoは私的年金と表現するように、公的年金の上乗せとして位置する年金であり、自分で管理・運用します。
iDeCoは所得控除を受けられますが、収入が少ない、もしくは収入がない専業主婦(主夫)にとっては、あまりメリットがないように感じられるかもしれません。
今回は、専業主婦(主夫)がiDeCoに入るメリットはあるのかという点を軸に解説します。
専業主婦(主夫)がiDeCoに入っても無駄と言われる理由
iDeCoに専業主婦(主夫)が加入しても無駄と言われることがあり、具体的な理由は以下の通りです。
理由1.所得控除の恩恵がない(小さい)
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象です。
所得控除とは、税金を計算する際、所得から課税しないお金として差し引くことであり、結果として所得を小さくできるため納める税金が少なく済みます。
しかし、専業主婦(主夫)でそもそも所得がない、または所得税がかからない所得の場合、この控除が受けられない/控除額がわずかです。
つまり、所得控除の恩恵がなく(もしくはそれほど大きくなく)、iDeCoに加入してもあまり意味がないと言われてしまうのです。
また、iDeCoは本人名義の口座から掛金を払います。
控除の対象は、掛金を払っている人であるため、働いている夫(妻)の控除に入れることもできません。
理由2.手数料負担が生じる
専業主婦(主夫)がiDeCoに加入する意味がないと言われるのは、手数料負担を考慮した上での意見と考えることもできます。
iDeCoに加入する際には、加入手数料として2,829円かかり、掛金から差し引かれます。
また、掛金を納付する度に105円引かれます。
手数料の負担は決して無視できない費用であり、「iDeCoを活用したから絶対に運用益が出る」というわけではないため、この点を踏まえてiDeCoを活用する必要があることは覚えておきましょう。
専業主婦(主夫)がiDeCoに加入するメリット
専業主婦(主夫)がiDeCoに加入するメリットは3つあります。
メリット1.公的年金に上乗せできる
専業主婦(主夫)がiDeCoに加入することで、公的年金の受給額に上乗せできます。
20歳から60歳まで国民年金に加入し満額を受け取る場合、月額6万6,250円(令和5年度の場合)受け取れます。
iDeCoに加入すると、上記の金額に加えて年金額を増やすことができます。
セカンドライフの収入源を増やし、より安心した老後生活を送ることができるでしょう。
メリット2.運用益が全額非課税となる
専業主婦(主夫)だけに限らず、iDeCoでは運用益が全額非課税です。
通常、運用益には20.315%の税金がかかります。
例えば、50万円の利益が出たとき、通常であれば税金が引かれ、39万8,425円ですが、iDeCoは税金が引かれないため、50万円をそのまま受け取れます。
運用益が非課税になることで、より効率的に資産を増やすことが可能です。
メリット3.受け取り時に所得控除が受けられる
iDeCoでは、将来年金を受け取る際に所得控除を受けることができます。
iDeCoには2パターンの受け取り方があり、一時金としてまとめて受け取るか、5〜20年の有期年金として受け取るかを選択できます。
一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金控除」が適用されます。
退職所得控除は退職金と、公的年金等控除は公的年金との合算で税額を計算します。
受け取る額が多い場合には課税される可能性がありますが、専業主婦(主夫)は一般的に退職金がない(もしくは少額であることが多い)ため、公的年金の額も少ないでしょう。
そのため、iDeCoで運用したお金はほとんど課税されることなく受け取れる可能性があります。
iDeCoの加入は専業主婦(主夫)にとっても大きなメリット
所得控除が(所得の高い人と比べて)小さかったり/受けられなかったり、手数料負けする可能性があったりと、専業主婦(主夫)がiDeCoに加入する上で考慮したいポイントはいくつかあります。
しかし、それは短期的に見た場合であって、長期的な視点で見ると、将来の年金額を増やすことができてiDeCoを活用するメリットは十分あります。
「iDeCoを始めたいけど掛金をいくらにしたらいいかわからない」「iDeCoやNISAの違いがわからない」などといった場合には、ぜひ当センターまでご相談ください。
お一人ひとりの家計状況に合わせたマネープランを一緒に考えましょう。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部