iDeCoは、老後に備えるための資産形成として、とても有効な手段ですが、原則として60歳まで引き出すことができないため、長期運用が前提です。
60歳まで引き出せないとなると、掛け金（拠出額）の増減を検討するタイミングも訪れるかもしれません。
今回は、iDeCoの増額・減額について解説します。
iDeCoの掛け金を増額したときのメリット・デメリット
iDeCoの掛金は増やしたり減らしたり変更できます。
そのため、転職して収入が増えたり、子どもが独立して生活費に余裕が出た場合など、ライフスタイルの変化に合わせて変更可能です。
iDeCoは、老後資金の準備のために加入するものであり、手元資金に余裕があればぜひとも増額を検討したいものです。
まずはiDeCoの掛け金を増額したときに、どういった影響を与えるのか解説します。
メリット1：運用益が増える可能性が高くなる
iDeCoの掛金を増額すると、将来的に運用益が増える可能性があります。
掛金を増やすことで、単純に資産運用に回せる金額が増え、さらに幅広い投資商品に資金を分散させることができて運用益の増加が期待できます。
ただし、運用にはリスクが伴うことも理解しておきましょう。
運用益・損失の大きさは、市場の変動や投資商品のパフォーマンスによって左右されるため注意が必要です。
メリット2：節税効果が大きくなる
iDeCoは、拠出した掛金全額が所得控除の対象です。
掛金が増えることで所得控除額も増え、運用益が非課税であることも税制上のメリットとなるため、掛金を増やした分、運用益が増えたとしても（運用益には）税金はかかりません。
デメリット1：毎月の負担が大きくなる
一方、掛金を増やすデメリットとしては、毎月の負担が大きくなることです。
詳しくは後述しますが、iDeCoの掛金を変更できるのは年に1回で、仮に増額すると1年間はその金額を払わないとならないため、家計に見合った掛け金になっているかどうか慎重に判断しましょう。
所得控除を重視するあまり、家計に見合わない掛け金を支払うことのないよう注意してください。
デメリット2：元本割れのリスクも伴う
増額したとしても、変わらず元本割れリスクも伴います。
市場の変動や投資商品の価格変動によって、資産の価値が減少して元本割れを起こす可能性があります。どの程度のリスクまで許容できるのか、しっかり見極めましょう。
iDeCoの掛け金を減額したときのメリット・デメリット
iDeCoの掛け金は増額できる一方で、もちろん減額も可能です。
「子供の進学に伴って生活費の負担が大きく、iDeCoに拠出する余裕がない」
「一時的に掛け金の金額を下げたい」などのニーズが生まれることもあるでしょう。
次に、iDeCoを減額したときのメリット・デメリットを確認しましょう。
メリット1：毎月の支払いに余裕が出る
iDeCoの掛金を減らすことで、食費や雑費など、他の支出に回す余裕が生まれるでしょう。
また、減額することで手元資金が増えるため、急な出費にも対応できます。
メリット2：元本割れのリスクが低くなる
減額することで、元本割れのリスクが低くなる可能性があります。
減額すると、運用資金の額も減りますが、市場の値動きの影響を受けにくくなり、元本割れのリスクが軽減されます。
ただし、繰り返しますが投資にはリスクが伴うため、許容できる範囲で拠出・運用しましょう。
デメリット1：運用益が小さくなる可能性がある
iDeCoの掛金を減額すると、運用益が小さくなることが想定されます。
掛金を減らすと運用資金が少なくなるため、その分の利益を得る機会が制限されます。
また、運用益が得られにくくなることで、将来の年金として受け取る金額も、当初の掛け金を拠出し続けた場合と比べると減る可能性が高い点にも注意が必要です。
デメリット2：節税効果が小さくなる
先ほども述べたように、iDeCoの掛金は全て所得税の控除対象ですので、掛金を減らしてしまうと控除額が減るため、所得税額が増える可能性があります。
iDeCoの掛金はどう決める？
iDeCoの適正な掛金額は、収入やライフプランによって異なります。
しかし、iDeCoは長期的な運用で大きな資産形成効果が期待できるため、早いうちから始めることが重要です。
iDeCoの掛け金を決める際には、次の点に注意しましょう。
- 毎月の支払いに余裕があるか
- 元本割れのリスクを許容できるか
iDeCoのメリットを最大限に活用するために、掛け金額は慎重に決めましょう。
iDeCoの掛金を変更するときの注意点
iDeCoの掛金は変更できる回数が年1回と決まっています。
具体的には、12月分の掛金から翌年11月分の掛金(実際の納付月：1月〜12月)の間で変更できます。
例えば、1万5000円だった掛金を、3月分から2万円まで増額したとすると、翌年の2月までその金額を払い続けなければいけません。
負担が大きかったからといって、すぐに変えることができないため、金額の変更はよく考えましょう。
iDeCoの増額と減額は慎重に判断しよう
iDeCoの掛け金はライフスタイルに合わせて変更可能ですが、年1回と決まっているため、慎重に判断しましょう。
「増額したいけどどれくらいまで増やしていいのかわからない」「子どもの進学に合わせて減らしたい」など、iDeCoの活用に際してお困りの際は当センターまでご相談ください。
お一人おひとりのライフプランに合わせてご提案させていただきます。
執筆者：NISA・iDeCo相談センター編集部
