iDeCoは公的年金に上乗せできる、老後資金づくりのための制度です。
iDeCoの活用を考える人の中には、「投資なんてしたことがない」「興味はあるけど損はしたくない」という人も多いでしょう。
今回はiDeCo始める前に確認しておくべきこと、押さえておくべきことを解説します。
iDeCoを始める目的を確認しよう
iDeCoの運用目的は大きく分けて2つあり、「老後資金を貯めるため」と「節税のため」です。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は、約23万円(総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」)であり、この金額を年金や退職金だけでまかなうのは難しいです。
その点、iDeCoで資産運用したお金があれば、老後の生活費の不足をカバーできます。
また、iDeCoは掛金の拠出時・運用時・受け取り時と、3つの場面で税制の優遇を受けることができます。
税制面で優遇されているため効率的に資産を増やせますが、そもそもiDeCoは老後資産を形成するための制度である点は改めて確認しておきましょう。
つまり、iDeCoの本来の目的は老後資金の準備であり、各種税制の優遇は資産形成をしやすくするためのおまけと考えても良いでしょう。
iDeCoのデメリットとして「60歳まで引き出せない」点がよく挙げられますが、この点は大きなデメリットと考える必要はありません。
引き出せないからこそ、強制的に貯め続けることができます。
もともと、人は将来よりも今をどうするかに目を向ける傾向があり、長期的視点を持つことが苦手だといわれています。
iDeCoでは毎月積み立てることができ、60歳まで引き出せないという「入口」と「出口」の強制力が備わっていますので、上手く活用し、資産を増やしましょう。
iDeCoを始める前に覚えておくべき注意点
iDeCoを始める前に覚えておくべき注意点として、「掛金の拠出を止めても手数料が取られる」という点です。
もし、さまざまな事情で掛け金を継続して拠出できない場合は運用指図者となり、新たに掛け金を拠出することなくこれまで積み立てたお金の運用のみを行います。
しかし、掛金の拠出を止めても一定の手数料は払い続けなければなりません。
手数料は、運営管理している金融機関によって異なります。年間の手数料が1000円以下という金融機関もあれば、5,000円以上としている金融機関もあり、さまざまです。
運用指図者になった場合、どの程度の手数料を負担するのかという点を事前に確認した上で、無理のない範囲で拠出を続け、少しずつでも資産を増やしましょう。
iDeCoの活用前に知っておきたいポイント
iDeCoやNISAなどの資産運用を始める前に、最低限の知識を身につけておきましょう。
知識を身につけておけば、市場が変動し資産価値が大きく下がったとしても、淡々と資産運用を続けることができます。
①資産を運用すべき理由
資産運用をおこなうことで、インフレリスクに対応できます。
預金の金利が低い今、貯金だけでは増やすことができないだけでなく、相対的にお金の価値が下がってしまいます。
また、老後資金だけでなく、教育費や住宅の購入費など、将来の大きな支出に備えるためにも、資産運用は有効です。
②長期投資と短期投資の違い
長期投資はリスクを分散し、市場の変動を乗り越えて資産を成長させることを重視します。
一方、短期投資は、短期間で利益を得ることを重視します。市場の変動に敏感で、損失が大きくなってしまう可能性もあるため、「投機」に分類されることが多く、「投資」と「投機」の違いは必ず知っておきましょう。
③時間の分散(ドルコスト平均法)
ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に購入する方法です。
価格が低い時に多く、高い時に少なく買うことで、購入平均価格を安定させることができ、市場の変動に影響を受けず、長期的なリターンを得られます。
④投資対象の資産の分散
iDeCoによる資産運用を取り入れる際には、どのような地域・資産に投資するかという点を決める必要があります。
現預金と投資資産の割合や、他での資産運用の状況を加味しながら投資対象の資産を考えましょう。
⑤投資手法の違い
インデックスファンドとは、市場の動きを示す指数と連動した動きを目指して運用される投資信託のことをいい、例えば、市場の動きを示す指数には、日経平均株価やTOPIXなどがあります。
一方、アクティブファンドとは、目安となる指数を上回る運用成果を目指す投資信託のことです。
インデックスファンドとアクティブファンドのどちらが良い、というわけではなく、投資手法には2種類あることを知り、ご自身のリスク許容度なども加味しながら投資銘柄を選びましょう。
iDeCoを始める前には目的を明確に!
iDeCoを始める前に、iDeCoは「老後資金を貯めるものである」としっかり理解しておきましょう。
資産運用を始めるための知識はあればあるほど良いですが、今回解説した5つのポイントは最低限確認しておきたいものです。
当センターでは新NISAに関するセミナーを開催しているほか、iDeCoに関するご相談も可能です。
iDeCoの活用に疑問や不安がある方は、ぜひお気軽に当センターにご相談ください。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部