NISA

NISAの「よくある誤解」

こんにちは。ファイナンシャルプランナーの福永です。

来年から、NISA制度(少額投資非課税制度)が大きく変わることもあり、最近はNISAに関する相談や質問を受けることが増えてきています。

そこでNISAについて、これまでの相談の中でよく耳にしてきた誤解をピックアップしてみました。

今一度、ご確認ください!

ー「どこに行けばNISAを買えますか?」

「NISAという言葉をよく聞くようになり話題になっているので試してみたい!」と相談を受ける際にNISAという商品があると勘違いしている方が、少なからずいらっしゃいます。

NISAは商品ではなく、株式や投資信託などの金融商品に投資する際の税金の優遇制度(少額投資非課税制度)のことを言います。

株式や投資信託に投資をして増えた場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して、20.315%の税金がかかるのが本来のルールですが、NISA口座を利用し投資した場合は税金がかかりません(非課税になります)。

NISAについては、こちらの記事を参考にしてください。

https://nisa-ideco-soudan.ashitaba-mirai.jp/2023/05/02/nisa_kiso/

ー「非課税枠はすべて使い切らないといけないですよね?」(余らせたらダメ)

NISAには「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、
それぞれ税金の優遇が受けられる投資の限度額が異なります。

【年間の非課税限度額】
一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円
ジュニアNISA:80万円

上記のように、それぞれ決められた限度額の枠がありますが、
この枠を1年の間に必ず使い切らないといけないわけではありません。

「枠がまだ余っているから使わないとダメですよね?」

「余らせるともったいないですよね?」

と、特に毎年12月頃になるとその年の残り枠を気にされる方が増えてきます。

もちろん、投資に回せる余裕資金があるならば、最大限の非課税枠を有効活用してほしいですが、枠を必ず使い切らなければならないわけではありません。

ただし、翌年に余った枠を持ち越すことはできないので、そこは注意が必要です。

とは言え、非課税枠が持ち越せないなら余らせるのは勿体ないと、枠を基準に考えてしまい、結果として自分にとって適切な投資金額を超えてしまっては本末転倒です。

NISAはあくまで『利益が出たときにかかる税金が優遇される』制度です。
無理な金額で投資をして仮に損失が出てしまった場合、NISAの恩恵を受けることができないだけでなく、もともと保有していた資産も減少することになります。

制度ありきではなく、自分の資産状況に合った投資を軸に考えるようにしてください。

ー「私、つみたてNISAをしているので、40万円を超えた投資はできませんよね?」

そのようなことはありません。
例えば、つみたてNISAで年間40万円を超えた金額のつみたて投資をしたい場合は、非課税枠40万円を超える投資金額については、課税口座(利益に対して20.315%の税金がかかる)で投資運用ができます。そこに上限額はありません。

また、積み立て式ではなく、まとまったお金で一回の投資(スポット投資)をする場合も同様に、課税口座で投資運用が可能です。

ー「つみたてNISAは始めたら、20年やめられないのは厳しいかと」

20年という非課税期間は解約できない期間ではなく、あくまで非課税で運用することができる最長期間です。

投資運用は長期が鉄則ですから、なるべく長い期間継続することが望ましいですが、途中でどうしても資金が必要になった場合などは、解約することもできます。

ただし、解約するとその非課税枠の再利用はできないことは覚えておいてください。

ー「NISAは、会社の年末調整で手続きしないといけないですか?」

会社勤めの方は、毎年年末に近づくと年末調整という手続きがありますね。
これは会社が従業員に支払ったお給料や賞与から源泉徴収した(差し引いた)税額の年間の合計額と本来徴収すべき所得税の一年間の総額を再計算して過不足を調整する手続きです。

加入中の保険やiDeCoなどを保有している場合、年末調整でその内容を記載して提出している方もいらっしゃると思いますが、これは、保険やiDeCoに加入している場合、申告することで一定の所得控除の対象になり、税金の優遇が受けられるからです。

ですが、NISAの税優遇は、お給料などの収入にかかる税金の優遇ではなく、投資運用で生じた利益に対する税金の優遇になるため、年末調整においての手続きは不要です。

ー「一般NISAは積立投資できないし、お金に余裕がある人の制度だから・・・」

なぜか、一般NISAはまとまったお金で投資する人のための制度と思われている方が多いようですが、決してそんなことはありません。

つみたてNISAと比べると一般NISAの方が非課税限度額が大きいので、そのようなイメージがついてしまっているのかもしれませんが、例えば一般NISAを活用して月1万円の積立投資も可能です。

極端に言えば、複数の商品にそれぞれ1万円のスポット投資をすることも一般NISAでは可能ですが、つみたてNISAではできません(積み立て式の投資方法しか使えないため)。

イメージだけで考えるのではなく、しっかりと特徴を確認した上で、自分の投資スタイルに合った制度を使うようにしたいですね。

ー「つみたてNISAは初心者用なんですよね?」

「初心者にはつみたてNISAがおすすめ」という文言もよく見かけますが、筆者は決してつみたてNISAは初心者用とは思っていません。

つみたてNISAはリスクが小さいと勘違いされているケースもありますが、リスクの大小は基本的には選ぶ商品によって決まるものです。

投資の世界では「リスク=値動きの幅」のことを言いますが、つみたてNISA対象商品の中にも株式に投資する投資信託など、必ずしもリスクが小さいとは言えないものもあります。

逆に、一般NISAを活用して債券に投資する投資信託などを選ぶことで、リスクを抑えた運用も目指せます。

つみたてNISAの投資手法である積立投資は、相場の動きを気にせず定時定額で投資していくため、多くの知識や感情にとらわれることなく20年という長期で非課税の恩恵を受けながら取り組めるという点では、初心者には始めやすいとも言えますが、一般NISAでも課税口座でも、同じように積立投資はできます。

あくまで、NISAは税金の優遇制度であることを覚えておきたいところです。


2024年からは新NISAが始まり、これまでのNISA制度から大きく変わり、
より使いやすくなります。

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一般NISAかつみたてNISAか?と選ぶ必要もなくなり、非課税投資枠も広がり無期限で使えるようになるのは、多くの方がより気軽に投資を始められて長く継続できる環境になるとも言えます。

ぜひ、ご自身の目的に応じた上手な使い方を検討してみてください。

もちろん、自分にとって最適な方法は・・・?と悩まれた時には、私達NISA・iDeCo相談センターのFPにお気軽にご相談くださいね。

筆者:ファイナンシャルプランナー 福永涼子