簡単に気軽に始められるつみたてNISAですが、中には向いていない人がいるのも事実です。
「みんなやってるから」「勧められたから」では、つみたてNISAのメリットを最大限に生かしきれないかもしれません。
今回はどのような人がつみたてNISAに向いていないのか、理由とともに解説します。
つみたてNISAに向いていない人の特徴
国が推奨している制度であるため利用している人も非常に多く、税金面で恩恵があるつみたてNISAですが、全ての人が活用すべきというわけではありません。
当センターにて相談を受ける中で、中には「いますぐNISAを始めるべきではないだろう」と思うこともあります。
ここで挙げる特徴にあてはまらないか是非チェックしてみてください。
①充分な貯蓄がない
そもそも運用に回す余裕資金がない人は、つみたてNISAをやるべきではないでしょう。
やみくもにつみたてNISAを始めて生活が立ち行かなくなるのは本末転倒ですので、まずは生活の土台となる貯蓄をしっかり確保することが大切です。
一般的には、病気がケガなどの不測な事態に対して、緊急資金として生活費の6ヶ月分は手元にあったほうがいいと言われています。
まずは緊急資金を確保したうえで投資を開始するほうが賢明です。
生活費の6か月分相当のお金を生活防衛資金と呼ぶこともあります。
なお、フリーランスなど自営業者は生活費の1年分を目安に確保しておくと良いと言われています。
②キャッシングやリボ払いを利用している人
手元資金が足りない時に手軽に利用できるキャッシングやリボ払いですが、手数料が15%~18%と非常に高く、この手数料を上回る成果を投資・運用で出すことはかなり難しいです。
特に、長期分散投資に適したつみたてNISAという制度を使いながら、短期間でこれほどのの運用成果を出すことはほぼ不可能に近く、キャッシングやリボ払いを使用している方は、まず返済を完了させることを第一に優先すべきといえます。
なお、リボ払いは支払い額が一定のため完済まで時間がかかってしまうことが多く、知らず知らずのうちに借金が膨らんでいることもあります。
早急に返済してまずは生活を安定させましょう。
③投資の運用結果に一喜一憂する人
誰でも簡単に始められるつみたてNISAですが、中身は金融商品ですので当然マイナスが出る局面もあります。
特に、長期間運用する中ではリーマンショックのような経済危機は避けて通れません。
そのため、市況や業況が悪い局面でも、落ち着いて冷静につみたてを続けることが重要です。
また、過去の暴落を振り返っても、そのあとまたゆっくり時間をかけて相場は安定を取り戻していく傾向にあり、運用結果に一喜一憂する必要はありません。
投資を始めたばかりの人は資産運用はリターンがゼロの状態から始まるので、最初のうちはリターンがプラスとマイナスを行き来しがちです。
数字にかじりついて、少しの変化が気になってしまう方も多いのですが、金融商品は生き物です。
マイナスはあるものだと価格の上下に一喜一憂せずにどっしりと構えて続けることが大切です。
「相場は相場にきけ」という格言もあるほど、相場は誰にも分からないものですし、毎日ずっと上がり続けることは有り得ません。
また、下落の局面ほど基準価格も安くなるので言いかえれば、いつも以上に安くて多く買い付けるチャンスにも繋がります。
④すぐに大きなリターンを期待する人
つみたてNISAは、しっかりと時間をかけてコツコツ継続することがとても大切です。
そのためすぐに大きなリターンを期待する人には向いていません。
1年や2年といった短期で成果が出ないことは決して失敗ではなく、10年・20年と続けることで資産運用の成功につながる可能性が高まります。
そもそもつみたてNISA自体が長期・分散・積立投資を支援するための非課税制度であるため、長期分散積立投資に適した金融商品しか買えない仕組みになっています。
利益追求でどんどんリターンを得たい人には不向きな制度なのでお勧めできません。
⑤継続できない人
つみたてNISAは少額でも少しづつ長期にわたって継続することで、複利の効果が働きゆっくり成果を生み出すことが期待されます。
そのため、途中でやめてしまうと、つみたてNISAのメリットが充分に生かしきれず積立の魅力を損なうことになります。
非常にもったいなく、継続できない人にはお勧めしにくい制度です。
「これくらいであれば続けれそうだな」と思う金額を設定し、無理のない範囲でコツコツ継続していきましょう。
複利効果とは、利息と元金の合計に対して利息がつくことをいい、投資・運用期間が長くなればなるほど複利効果は大きくなります。
新NISAも確認しよう
ここまで説明してきたつみたてNISAですが、実は今年(2023年)いっぱいで終わることが決定しており、来年(2024年)からは新NISAに変わります。
2023年現在のNISA制度と、新NISA制度の主な違いは以下の通りです。
今年までつみたてNISAで運用してきたものは、20年非課税期間が適用される点は変わらないものの、来年からはつみたてNISAに拠出出来なくなるので注意が必要です。
ただし、新NISAではつみたてNISAで20年非課税だった期間が、無期限で非課税となるため大幅な改良となります。(=恒久化)
また、今までのNISAでは「一般にNISA」と「つみたてNISA」の併用は出来ませんでしたが、新NISAではこれら2つの制度が一本化されます。
年間非課税投資枠についても、これまでつみたてNISAが40万円、一般NISAが120万円だったところ、新NISAでは360万円と大幅に拡大しますので、ぜひ積極的に活用したいところです。
無理のない範囲でコツコツ続けよう
繰り返しになりますが、「長い期間をかけて継続すること」が積立投資で資産形成する上では非常に重要です。
それは新NISAになっても変わりません。
しかし、投資を始めた途端に価格の上下が気になりだしマイナスにストレスを感じ減額・売却する人が後を絶ちません。
実際に、金融庁が出しているデータでも、全体の買い付け額(購入)に対し、解約率が20%に上る年もあり、長期投資を促す制度にもかかわらず短期で解約してしまう人が予想以上に多いのは事実です。(参考:金融庁「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」)
「自分は絶対大丈夫」「どんなことがあっても続ける」と強く思っていても、いざ実際に急な暴落と、表示されるマイナスの評価損を目の当たりにするとに平常心を保つことが難しく、パニックになり焦って解約する人がとても多いです。
「〇〇ショック」のような経済危機や市況の変化は避けて通ることは出来ません。
暴落時こそ落ち着いて、冷静を保ちつつ状況を把握しましょう。
長い間運用することで苦しい期間は必ずありますが、「継続は力なり」で、いい意味で「放置する」感覚で続けることができれば、きっと将来の資産形成の糧になってくれるでしょう。
とはいえ、暴落や〇〇ショックがあっても淡々と積立を継続できる人は非常に稀です。
当センターでは、長期投資の伴走者として、これから投資を始める方とともに資産づくりのお手伝いをさせて頂きます。
投資スタート後のフォローもしっかり行っており、サポート体制も整っていますので、ご不安な方は是非当センターにご相談ください。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部