投資・運用による資産形成を考える上で、複利の仕組みはぜひ知っておきたいものです。
今回は、複利について解説します。
複利とは
複利とは、元本に対して得られる利益を再投資し、その再投資された金額にも利益が生じる仕組みです。
つまり、利益が元本に加えられ、そこからさらに投資に回ることでどんどん成長していきます。
ただし、投資にはリスクも伴うため、自身のリスク許容度や目的に合わせた資産運用プランを立てることが大切です。
必要に応じて、専門家のアドバイスを受けながら資産運用をしましょう。
複利の計算式
複利の計算式は、以下のとおりです。
複利 = 元本 × (1 + 年利)^n
・元本:投資する金額
・年利:利回り(年率)
・n:運用期間(年)
例えば、100万円を年利5%で10年間運用する場合、複利の計算式は以下のようになります。
100万円 × (1 + 0.05)^10 = 162万8,895円
元本が大きければ大きいほど、運用期間が長ければ長いほど複利は力を発揮し、資産が成長していきます。
複利のシミュレーション
金融庁をはじめ、銀行や証券会社のWebサイトなどで複利計算のシミュレーションができますので、ぜひ一度試してみてください。
ここでは例として、毎月1万円を積み立てたときをモデルケースとしてシミュレーションし、複利の力で資産がどう成長していくかを見てみましょう。
<条件>
毎月の積立金額:1万円
年利:3%
元本 | 運用益 | 合計(元本+運用益) | |
5年目 | 60万円 | 4万5,810円 | 64万5,810円 |
10年目 | 120万円 | 19万4,480円 | 139万4,480円 |
15年目 | 180万円 | 46万2,394円 | 226万2,394円 |
20年目 | 240万円 | 86万8,544円 | 326万8,544円 |
25年目 | 300万円 | 143万4,948円 | 443万4,948円 |
30年目 | 360万円 | 218万7,130円 | 578万7,130円 |
※あくまでシミュレーションのため、実際の投資結果とは異なります。
元本・運用益の10年目と30年目を比較すると、元本は3倍に増えたのに対し、運用益は、約11倍(218万7,130円÷19万4,480円)と大きく増えたことがわかります。
市場の変動があるため、上記のように毎年順調に増えていくとは限りません。
リーマンショックやコロナショックのような事態が起これば、下がることもあるものの、資産や時間を分散させることでリスクを下げることは可能です。
このことからも、長期での投資が大切であることがわかります。
複利のメリット・デメリット
シミュレーションを確認すると、複利の魅力がわかったのではないでしょうか。
しかし、複利にもメリット・デメリットがあり、いずれもきちんと確認しておきたいものです。
メリット
- 時間の経過とともに雪だるま式に資産が増える
- 元本が少なくても(時間をかけることで)大きな資産を築ける
- リスクを抑えながら資産を増やせる
複利の力で、時間が経つにつれてどんどん資産が増えていきます。
また、シミュレーションのように、元本が少なくても(時間をかけることで)大きな資産を築くことが可能です。
そして、長期目線での運用によって、仮に相場が急落したとしても戻ってくることを加味すると、急激な市場の変動にも耐えられます。
デメリット
- 長期間の運用が鍵であり、短期の売買では複利効果を発揮しにくい
- 成果があるのはプラス運用のときだけ
複利を活かすためには、できるだけ長期間の運用を目指しましょう。
運用している資産は、いずれ取り崩す時期が訪れるとはいえ、頻回の売却は複利の効果を下げてしまいますので、生活費や生活防衛費など、必要なお金は投資に回さないようにしましょう。
また、複利の成果が出るのはプラス運用のときだけです。
不況のときは、利益が出ずマイナスになってしまうこともありますが、市場は時間をかけて戻る、または上昇する傾向があります。
そのため、評価額がマイナスになっても慌てることなくコツコツと運用を続けましょう。
複利の力を活用しよう
複利の力をできる限り活用するためには時間が必要です。
たとえ少額でも、時間をかけることで資産が大きく増える可能性があり、早く始めれば始めるほど資産も効率よく増えます。
複利の詳細を知った上で、「投資を始めたいけど何をしたらいいかわからない」「どういう制度があるかわからない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ当センターまでお問い合わせください。
NISAやiDeCoといった制度を活用した資産づくりをサポートしており、投資・運用についても基礎からお伝えします。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部