効率の良い資産形成のためにも、「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)はやったほうがいいよ!」と、周囲から言われたことがある人もいるでしょう。
税金面でさまざまなメリットがあるiDeCoですが、「iDeCoを始めれば、すべての人にメリットがある」というわけではありません。
中には、iDeCoを活用するメリットが大きくない人や、むしろiDeCoには加入しないほうが良いという人もいます。
今回は、iDeCoをやらないほうがいい人の特徴を解説します。
iDeCo(イデコ)をやらないほうがいい人の特徴
60歳まで掛け金を原則引き出すことができないものの、掛け金が全額所得控除になるため、収入(所得)が高い人ほど節税効果が大きくなります。
特に、節税効果については、「誰もがiDeCoに加入すれば節税効果がある」と思っているケースもありますが、実際はそうではありません。
また、60歳までの引き出し制限が想定以上のデメリットになる可能性もあり、安易な加入は禁物です。
以下で、iDeCoをやらないほうがいい人の特徴を解説しますので、各項目に該当しないかチェックしてみましょう。
特徴①十分な貯蓄がない人
病気やケガによる入院・手術のリスクは誰もが抱えており、急な支出が重なることもあるでしょう。
十分な貯蓄がないままiDeCoの掛け金を拠出しても、不測の事態が起こった場合に引き出すことができません。
この場合、家族に頼ったり、お金を借りたりと、お金の工面に苦労します。
ここでいう”十分な貯蓄”額は人それぞれですが、一般的には生活費の半年〜1年分は現預金として確保しておくことが望ましいと言われています。
iDeCoを活用した老後資金準備よりも、まずは生活防衛資金と呼ばれる当面の生活費の確保を優先しましょう。
特徴②大きなライフイベントを控えている人
iDeCoをやらない方がいい人の特徴として、大きなライフイベントを近々迎える人も該当します。
結婚や出産は、家族の人数が増えるため、想定以上に支出が膨らむなど収支が把握しにくい時期です。
結婚後や出産後しばらくして、収支に問題がないと判断した上で加入しましょう。
また、マイホームやマイカーの購入や子供の進学を控えているケースも同様です。ローンの返済や教育費の支出が想像以上に重く、iDeCoの掛け金を拠出することでさらに家計が悪化する可能性があります。
これらのイベントを控えている人も、毎月の家計バランスを考えた上での加入が望ましいです。
最後に、転職・退職や独立・開業を考えている人も、急いでiDeCoに加入する必要性は低いでしょう。
働き方が変わると、収入が変化することはもちろんのこと、国民年金の加入区分が変わるとiDeCoの掛け金の上限額にも影響します。
こういったケースも、iDeCoに加入するタイミングはしっかりと考慮すべきといえます。
特徴③収入が一定額以下の人(もしくは各種控除額が大きい人)
先述の通り、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象になるため、負担する税金を抑えることができる(=節税効果がある)点が特徴です。
「節税効果」と聞くと、誰もが「ぜひ活用したい!」と思うのも無理はありません。
しかし、所得控除は、所得から一定額を差し引くことによって、本来支払うべき税金を減らせるという仕組みです。
もしも、所得が大きくない、もしくは所得がなければ、所得控除の恩恵は小さい(もしくはない)です。
このように、収入が一定額以下の人や控除額が大きい人は、iDeCoにおける最大のメリットともいえる節税効果がほとんどありません。
例として、
- 専業主婦(夫)で、給与や事業による収入がない
- 配偶者の扶養に入るため年収が103万円以内になるよう抑えている
上記の例に当てはまる場合は、iDeCoに加入するメリットはそこまで大きくありません。
つまり、納めるべき税金がなければ(もしくは小さければ)、所得控除のメリットは大きくなく、この点はiDeCoを始める上で必ず理解しておきたいポイントです。
※所得控除の側面から考えて「iDeCoに加入するメリットは小さい」と述べましたが、60歳まで引き出せないという強制力を用いた老後資金準備がしたい、という方は、iDeCoに加入するメリットを感じられるかもしれません。
「節税効果」の意味をよく考えよう
「まわりにiDeCoを勧められたから、とりあえず加入した」
「専業主婦の妻がiDeCoへの加入を検討している」
私たちが日々お受けする相談者の中には、こういった方も少なくありません。
iDeCoに加入するメリットは、インターネットなどさまざまな媒体で言及されていますが、「iDeCoに加入するメリットが小さい人」に関する情報は非常に少ないです。
老後に備えてiDeCoを活用することは非常に素晴らしいのですが、加入前に「自分自身がiDeCoに加入することによってどのようなメリットがあるか」「税金の負担はどれほど軽くなるか」といった点をチェックしておきたいものです。
当センターでは、相談者一人ひとりの状況を丁寧にヒアリングした上で、時には「iDeCo加入はもう少し待ちましょう」とお伝えすることもあります。
iDeCoに加入すべきか判断に迷う場合は、ぜひ当センターにご相談ください。