iDeCoは加入資格が就労状況や職種などによって異なります。
基本的には国民年金の被保険者区分で分けられますが、具体的な条件を知らない方も多いはず。
この記事では、iDeCo加入資格を国民年金の被保険者区分ごとに整理して解説します。
http://nisa-ideco-soudan.ashitaba-mirai.jp/2023/04/13/ideco_merit/
iDeCoの基本的な加入資格
まずは、iDeCoの基本的な加入資格を見ていきましょう。
以下の条件は、就労状況や職種などに関係無く、一律で適用されます。
<年齢>
20歳以上60歳未満(一部例外あり)
<加入条件>
国民年金の被保険者であること(任意加入者を含む)
農業者年金の被保険者でないこと
上記からもわかる通り、iDeCoは20歳以上60歳未満の国民年金の被保険者であれば、基本的に誰でも加入できます。
そこからさらに、加入者は国民年金の被保険者区分によって区分され、拠出限度額が決定されます。
以前は、加入資格が国民年金の被保険者区分における、自営業やフリーランスなど(第1号被保険者)と、民間の給与所得者(第2号被保険者)のうち、企業年金制度がない企業に勤務する人に限られていましたが、2017年1月から対象者が拡大され、第3号被保険者(第2号被保険者の扶養に該当する方)や公務員なども加入できるようになりました。
また、民間の給与所得者においても、企業年金制度に関する条件が緩和されており、企業年金制度がある企業に勤務している場合でも、iDeCoに加入できるようになっています。
加入可能年齢の例外
iDeCoの加入可能年齢は基本的に20歳以上60歳未満ですが、特定の条件に該当する場合、65歳未満まで掛金を拠出できます。
条件は被保険者区分によって異なり、それぞれ以下のとおりです。
・第1号被保険者の場合:任意加入被保険者(※)に該当する場合
・第2号被保険者の場合:60歳以降も第2号被保険者に該当する場合
・第3号被保険者の場合:任意加入被保険者に該当する場合
いずれの場合も、上記の条件に該当しなくなったらiDeCoの掛金を拠出できなくなります。
第1号被保険者及び第3号被保険者の場合は、任意加入をストップしたとき、第2号被保険者の場合は、退職して第2号被保険者でなくなったときです。
また、iDeCoの老齢給付金の支給を開始した場合や、公的年金の切り上げ請求をした場合は、上記の条件に該当していても対象外です。
国民年金の強制加入被保険者(会社員や公務員など)ではないものの、任意で国民年金に加入できる人のことを任意被保険者といいます。
国民年金の被保険者によるiDeCoの加入資格
iDeCoの具体的な加入条件は、主に国民年金の被保険者区分により定められており、この区分は掛金の拠出限度額設定にも用いらます。
区分ごとに加入条件と拠出限度額が大きく異なりますので、必ず自分が該当する区分の条件を把握しておきましょう。
自営業やフリーランス、学生など(第1号被保険者)
第1号被保険者に該当するのは、自営業者やフリーランスといった企業に勤めずに働いている方や学生、無職の方などです。
条件で解説すると、企業に勤めておらず、また、第2号被保険者の扶養に該当する、第3号被保険者にも該当しない方です。
第1号被保険者の方の加入資格は以下のとおりです。
<加入資格>
20歳以上60歳未満
<注意点>
・国民年金保険料を納付していること(このとき、障害基礎年金受給者を除き、全額免除・半額免除等を受けていないこと)
・農業者年金基金に加入していないこと
<拠出限度額>
年間816,000円(月額68,000円)
自営業やフリーランスに該当する場合、その職種や就労時間などによってiDeCoの拠出額の条件などが変わることはありません。
もちろん、農業や漁業を営んでいる方も同様に第1号被保険者です。
第1号被保険者は、厚生年金に加入していない分、拠出限度額が高く設定されています。
年間816,000円という額は、iDeCoの加入者区分の中で一番高い設定であり、厚生年金に加入していない国民年金の第一号被保険者がiDeCoを活用して老後資金を準備する必要性は非常に高いです。
民間企業の会社員(第2号被保険者)
給与所得者として働いている第2号被保険者のうち、民間企業に勤務する方の加入資格は以下のとおりです。
<加入資格>
65歳未満
<拠出限度額>
・企業型DCに加入していない場合:確定給付企業年金や厚生年金基金などがない場合は年間276,000円(月額23,000円)まで。
確定給付企業年金や厚生年金基金などがある場合は年間144,000円(月額12,000円)まで
・企業型DCに加入している場合:確定給付企業年金や厚生年金基金企業年金等がない場合は、年間240,000円(月額20,000円)まで。
確定給付企業年金や厚生年金基金などがある場合は、年間144,000円(月額12,000円)まで
企業型確定拠出年金に加入している場合は、iDeCoの掛金は企業型確定拠出年金の掛金と合算して月額5.5万円(企業年金等がある場合は、月額2.75万円)を超えることはできません。
第2号被保険者は加入資格に年齢の下限がありません。
これは、20歳未満で企業に勤務する方がいるためです。
また、拠出限度額については、企業が実施している、企業型DC(企業型確定拠出年金)や、確定給付企業年金や厚生年金基金などの実施・加入状況によって限度額が変わります。
実施・加入している制度が少ないほど限度額が高く、多いほど限度額が低くなりますので、勤務先に確認してから加入すると良いでしょう。
公務員(第2号被保険者)
給与所得者である第2号被保険者のうち、公務員に該当する方の加入資格は以下のとおりです。
<加入資格>65歳未満
<拠出限度額>年間144,000円(月額12,000円)
公務員の場合も、民間企業の会社員と同じように20歳未満でもiDeCoに加入できます。
これは、20歳未満でも就職する場合が有るためです。
また、公務員の場合は、民間の給与所得者のように条件によって拠出限度額が変わることがなく、一律で年間144,000円(月額12,000円)までです。
専業主婦・主夫など(第3号被保険者)
第3号被保険者は、専業主婦・主夫などが該当し、具体的には第2号被保険者の扶養に該当する方が第3号被保険者となります。
<加入資格>20歳以上60歳未満で、国民年金の第3号被保険者であること。
<拠出限度額>年間144,000円(月額12,000円)
配偶者が企業型確定拠出年金に加入している場合は、iDeCoに加入できません。
第3号被保険者の加入資格は、第1号被保険者と同じ20歳以上60歳未満ですので、20歳未満は加入できません。
ただし、第2号被保険者と違って厚生年金に加入できないため、拠出限度額は高く設定されている点が第三号被保険者の特徴といえるでしょう。
iDeCoの加入条件のまとめ
iDeCoの加入条件は、主に国民年金の被保険者区分によって定められていますが、個人の状況によって変わる部分も多いため、必ずチェックしましょう。
特に、民間の給与所得者の場合は企業における年金制度の状況によっても変わるので注意が必要です。
また、iDeCoだけでは足りないと感じたら、NISAの活用を検討してもよいでしょう。iDeCoとNISAは併用が可能で、国が用意してくれた非課税制度を最大限活用できます。
当センターでは、iDeCoやNISAをはじめとする各制度の活用サポートを行っています。
iDeCoの加入資格を確認した上で、「今年からやってみようかな」という人は、ぜひお気軽に当センターにご相談いただければと思います。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部