投資の際には、投資したいファンドの運用実績はどうなのか、これからどう運用していくのか、費用はどれくらいかかるのかなど、気になることが多々あるでしょう。
販売会社から発行される運用報告書を読むことで、それらがわかり、適切な判断ができるようになります。
今回は、運用報告書について解説します。
運用報告書とは
運用報告書は、投資信託の運用成績や資産状況などがまとめられたものです。
原則として決算期ごとに作成されますが、決算期間が6ヶ月未満の毎月決算型や3ヶ月決算型、隔月決算型の投資信託は、半年に一度です。
作成する度に投資家に交付されますが、交付方法は販売会社によって異なり、郵送や電子交付で見ることができます。
なお、投資信託約款でインターネットなどを通じて提供する旨が定められている場合には、ホームページへの掲載でも交付されたものとみなされます。
運用報告書の見るポイント
運用報告書は、投資判断をする上で大切な情報が載っています。どこを見るべきか、ポイントに分けて解説していきます。
①運用実績
運用実績は、ファンドの運用成果を知る上で重要です。
運用実績を確認する際には、分配金再投資基準価額の動きに注意しましょう。
分配金再投資基準価額は、決算日に分配金を支払わず、税金を引く前の分配金を再投資したと仮定して算出された価額です。
通常、ファンドは分配金を支払うと純資産総額は減り、基準価額(ファンドの1口あたりの値段)が下がります。
つまり、分配金再投資基準価額の動きを見ることで、実質的な運用成果がわかります。
基準価額の動き
ベンチマークと比較することで、投資信託の値上がり・値下がりが市場環境によるものなのか、運用によるものなのかが判断できます。
ベンチマークとは投資信託が運用する際に目標とする基準のことです。
代表的なものとしては、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などが挙げられます。
べンチマーク騰落率
インデックスファンドはベンチマークと同じ動きを目指して運用がおこなわれているのに対し、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用成果を目指しています。
目標通りの値動きになっているかを確認しましょう。
純資産総額の動き
純資産総額とは投資信託の総資産額から支払いが済んでいない費用の総負債額を引いた金額のことです。
資産の価値が上がったり、投資家が増えて保有する口数が増えたりすると、純資産総額は増えていきます。
少しずつ増えていれば、資産が育っていると判断できるでしょう。
②投資環境
景気や金利などの経済状況は、投資信託の運用成果に影響を与えます。
投資環境では、投資している資産の市場全体の動向がわかり、どのように対処したのかを知ることができ、どういう出来事がファンドに影響を与えるのかもわかります。
③今後の運用方針
ファンドの将来の運用戦略や目標がわかります。
市場に大きな影響を与えるような出来事が起こると、一時的に運用方針を変えるファンドもありますので、自分の投資目的とあっているか確認しましょう。
④費用の明細
費用の明細では、「信託報酬」「売買委託手数料」など運用にかかった費用がまとめられています。
費用は1万口あたりで掲載されているため、自分が投資しているファンドは運用コストが大きいのか小さいのかがわかります。
信託報酬(投資信託の運用会社に支払う費用)はファンドの資産から差し引かれるため、上回る成果が上げられないと基準価額が下がっていきます。
運用報告書を読んで投資に役立てよう
運用報告書には、投資判断をおこなう上で重要な情報が記載されています。
専門用語が多く、敬遠してしまうかも知れませんが、ポイントを押さえれば難しいことはありません。
ファンドが成長しているかどうか、自分の投資目標と合っているかを確認しましょう。
当センターでは、iDeCoやNISA、企業型確定拠出型年金など、資産形成に関するご相談をお受けしています。
また、無料で参加できるオンラインセミナーも開催しています。
「将来が不安だけど貯金だけじゃダメなの?」「会社で年金制度に入っているけどよくわかっていない」という方に向けて、なぜ今投資が必要なのかを解説していますので、ぜひご参加ください。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部