来年の1月からいよいよ新NISAが始まります。
新NISA制度では現行の制度と違い、非課税枠を再利用できることになりましたが、「非課税枠って何?」「再利用ってどういうこと?」などといった疑問を抱いている人もいるでしょう。
今回はこういった疑問にお答えしていきます。
非課税枠とは
非課税枠とは、(利益に)課税されずに投資できる金額をいいます。
通常、株や投資信託の運用で得た利益は、20.315%の税金がかかります。
しかし、現行のNISA・つみたてNISA同様、新NISAではこの税金がかかりません。
例えば、毎月1万円、年利3%で運用した場合のシミュレーションは下記のとおりです。
積み立てた金額 | 積み立てた金額+運用益 | 節税効果 | |
5年 | 60万円 | 64万5,810円 | 9,360円 |
10年 | 120万円 | 139万4,480円 | 3万9,509円 |
15年 | 180万円 | 226万2,394円 | 9万3,935円 |
20年 | 240万円 | 326万8,544円 | 17万6,445円 |
25年 | 300万円 | 443万4,948円 | 29万1,510円 |
30年 | 360万円 | 578万7,130円 | 44万4,315円 |
※計算結果は1円未満を四捨五入しています。
上記の表から、運用期間が長いほど、節税効果も高まることが分かるかと思います。
新NISAの投資上限額は年間360万円(つみたて投資枠:120万円、成長投資枠:240万円)で、生涯で1,800万円(成長投資枠:1,200万円)です。
つみたて投資枠とは現行のつみたてNISAに該当するもので、長期の積み立て、分散投資に適した投資信託が対象商品です。
一方の、成長投資枠とは上場株式や投資信託が対象商品です。長期の資産形成を目的としているため、信託期間が20年未満のものや毎月分配型の投資信託などは除外されています。
なお、新NISAは買付したときの金額で管理されます。(簿価残高方式)
そのため、積み立て総額が1,800万円になるまでは、運用益との合計が1,800万円を超えていても買い付けできます。
非課税枠の再利用とは
新NISAでは非課税の再利用といい、売却するとその分の非課税枠が翌年に復活します。
例えば、2025年に買付金額50万円分(評価額70万円分)を売却したとします。
すると2026年に、買付金額の50万円分が復活するということです。
売却した評価額の金額ではなく、買付した金額で管理されることを理解しておきましょう。
この非課税枠の再利用によって、車の購入費や家のリフォーム代、子どもの教育費など、ライフイベントに合わせてまとまった金額に備えやすくなるほか、売却した後も効率的に資産形成を継続できます。
例えば、30歳の男性(子ども2歳・0歳)のシミュレーション例を見てみましょう。
年齢 | ライフイベント | 資産運用 | 売却 |
30歳 | 教育資金準備 | 月5万円を投資 | |
38歳 | 住宅購入 | 累計買付金額480万円 | 買付金額250万円分売却 |
46歳 | 第一子の大学進学 | 累計買付金額960万円 | 買付金額300万円分を売却 |
48歳 | 第二子の大学進学 | 買付金額300万円分を売却 | |
49〜64歳 | 老後資金の準備 | 月4万円を投資 | |
65歳 | 定年退職 | 累計買付金額1680万円 |
※あくまでシミュレーション例です
非課税枠の再利用があるため、上記のようにさまざまなライフイベントに対応できます。
また、上記は買付金額で記載しているため、運用がうまくいけば、資産はこれ以上に増えている可能性があります。
資産運用は大金である必要はありません。
少額でも早くから始めることで、複利の力で資産が育ちますので、まずは始めることが大切です。
売却した年ではなく、翌年であることに注意しましょう。
非課税枠の再利用を活用してライフイベントに備えよう
新NISAの非課税枠を再利用すると、まとまった資金が必要なライフイベントに対応できるだけでなく、効率的な資産運用を継続できます。
生涯の非課税投資枠は1,800万円が上限ですが、売却すると復活するため、必要なタイミングで売却し、資産形成を続けるのがいいでしょう。
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執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部