2016年に制度がスタートしたジュニアNISAは、お子さんやお孫さんの教育資金を貯める手段として注目を浴び、ニュースや雑誌などでも取り上げられました。
以前、「ジュニアNISA活用のすすめ」として、今からでもジュニアNISAを活用するメリットを解説しました。
その後、お客様から「ジュニアNISAそのものの解説があれば嬉しい」といったお声をいただきましたので、今回はジュニアNISAの概要をテーマにお伝えします。
ジュニアNISAについて
ジュニアNISAは、日本在住の0~17歳までの方が利用できる投資のための非課税制度で、正式名称を未成年者小額投資非課税制度といいます。
ジュニアNISA口座を開設する際は、口座開設者(未成年者)の二親等以内の親族(親権者・祖父母等)が運営管理者となり、口座開設や管理・運用などを行います。
運営管理者とは当該未成年者の方に代わって口座内の資産を管理・運用する代理人をいいます。
実際の運用方法としては、株式や投資信託、ETFといった金融商品に投資し、1人あたりの年間の非課税投資枠は80万円で、そこから得られた利益・分配金・配当金が非課税になります。
ジュニアNISAのメリット
それでは、ジュニアNISAにはどんなメリットがあるか見てみましょう。
①1年間で80万円の非課税枠がある
株式や投資信託の運用で得られた利益・配当金・分配金は通常約20%の税金がかかりますが、先述の通り、ジュニアNISAで運用すると毎年80万円を上限とした非課税枠があり、5年間非課税で保有できます。
②ロールオーバーができる
繰り返しになりますが、ジュニアNISAの非課税期間は最大5年です。
なお、その期間を過ぎても、ロールオーバーすることにより18歳まで引き続き非課税で運用できます。
ロールオーバーを希望する場合は金融機関で手続きしないと、課税口座に移管されてしまうので忘れずに行いましょう。
ロールオーバー(非課税期間延長)とは、ジュニアNISAで運用していた分を「継続管理勘定」という非課税枠へ移すことをいいます。
③2024年以降はいつでも引き出し可能になる
現行のジュニアNISAは、18歳になるまで払い出しが出来ないという引き出し制限がありますが、2024年以降は引き出し制限が撤廃となり、必要なタイミングで引き出しできるようになります。
資金の自由度が非常に高くなり、使い勝手が良くなる点を覚えておきましょう。
④親子で投資を学ぶ機会になる
2022年度から高校の授業で、投資信託や保険、株式などの「資産形成」について扱うように学習指導要領が改訂されました。
金融教育の重要性が問われている中、若い頃から資産形成について学ぶことは大切です。
ジュニアNISAの実際の運用成果を一緒に確認することにより、親子で投資の勉強や投資にまつわる会話をする良い機会となりますね。
また、お子様が将来大きくなったときに、「小さいときから投資してお金を育てていた」ということを伝えることで、まさに家庭で実践できる最適な金融教育となるでしょう。
ジュニアNISAのデメリット
一方、ジュニアNISAのデメリットは以下のとおりです。
①元本割れの可能性がある
ジュニアNISAの非課税対象となるのは、株式や投資信託、ETFなどで得た配当金や譲渡益であり、これらの商品はいずれも元本は保証されていないため元本割れの可能性があります。
しかし最長5年間は非課税であり、その後もロールオーバーをすることで非課税期間を延長することが出来るので、長期運用によってリスクを分散しながら資産を育てることができます。
②損益通算・繰越控除が出来ない
損益通算とは、同一年内の損失と利益を相殺することをいい、確定申告することで損益通算が可能です。
一方の繰越控除はその年だけで損失を控除しきれない場合に、翌年以降の利益から控除することができるものです。
投資信託の特定口座(源泉徴収あり)や一般口座の取引では、この損益通算や繰越控除は可能ですが、ジュニアNISAは出来ません。
③2023年で制度が終了する
繰り返しになりますが、ジュニアNISAは2023年をもって制度が終了します。
本来、年間80万円を上限に最長5年間が非課税になりますが、新規投資できるのは2023年内なので、2024年以降は新規での積み立てができない点は十分に注意しましょう。
④2023年は18歳まで引き出し制限がある
ジュニアNISAは子どもの教育資金を準備することを想定しているので、現在は18歳までの引き出し制限があります。
18歳未満で引き出しをすると過去の利益に対してさかのぼって課税され、ジュニアNISAの口座も廃止になってしまうので注意しましょう。
※ただし、災害などのやむを得ない事情の場合は非課税で払い出しができます。
2024年以降は払出し条件が撤廃され、保有している金融商品および金銭の全額について、年齢や条件を問わず払出しが可能です。
ただし、頻回に分けた払い出しはできず、払い出すタイミングでジュニアNISA口座は消滅します。
口座開設者(子供)が18歳になるとどうなる?
口座開設者(子供)が18歳になったときの取り扱いについても最後に確認しておきましょう。
この点は、ジュニアNISAを始めてから、18歳になるまでの期間に非課税期間(5年間)が終了するかどうかで変わります。
非課税期間を終了してから18歳になる場合
非課税期間終了(5年経過後)した後は、ロールオーバーを行うと18歳になるまで継続管理勘定にて非課税で運用できます。
その後18歳になると特定の課税口座に移管されます。
非課税期間を終了する前に18歳になる場合
ジュニアNISAの口座開設者が18歳になると、新しく自動的に開設された成人NISA口座に移管され、5年間引き続き非課税で運用できます。
なお、いずれの場合も18歳になると原則本人が運用の管理・指図をすることになります。
ジュニアNISAは2023年9月までなら申し込み可能
ジュニアNISAは2023年で残念ながら制度は終了となりますが、年内であれば新規投資が可能であり、今年分の80万円分の非課税枠が利用できます。
ジュニアNISAの新規申し込み期限は金融機関によって異なるものの、多くの金融機関では9月中を目処としています。
いざ始めようとしても、ジュニアNISAは金融機関に手続きして実際に投資を始めるまでに時間がかかってしまうので、もし始めようとしているなら今すぐアクションを起こした方がいいでしょう。
メリット・デメリットを踏まえて教育資金の準備の手段の一つとして、ジュニアNISAの検討してみてはいかがでしょうか。
当センターでは、駆け込みのジュニアNISAの開設サポートを実施しています。ぜひお気軽にお声がけください。
執筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部