投資を始める際に、「ご自身のリスク許容度を確認しましょう」などと言われることがありますが、リスク許容度という言葉を正しく理解しているでしょうか?
今回は、リスク許容度の言葉の意味や、リスク許容度を考える上でのポイントをお伝えします。
そもそも投資におけるリスクとは
「投資にはリスクがある」「リスクを確認した上で投資しましょう」などといった言葉をよく耳にします。
投資におけるリスクとはどのような意味なのでしょうか?
投資におけるリスクとは、リスク=収益(リターン)のブレを表します。
つまり、価格の振れ幅、言い換えると不確実性ともいえます。
投資すると、市況や業況によって価格が上下することがあり、この振れ幅がリスクというわけです。
リスクは一般的に標準偏差と呼ばれ、標準偏差の値が大きければ価格の振れ幅が大きく、標準偏差の値が小さければ価格の振れ幅は小さいです。
また、リスクが高ければリターンも大きく、リスクが小さければリターンも小さくなります。
リスクが低く、リターンが大きい投資商品はありません。
なお、主な投資商品のリスクとリターンの関係は以下の図の通りです。
※auカブコム証券を参考に筆者にて図解作成
預貯金や債券は価格の変動幅が小さく(=リスクが比較的小さく)、FXや株式の一部は価格の変動幅が大きいため、リスクがより大きいとわかります。
上記はあくまでも、各商品の特徴を踏まえた上での一例であり、それぞれの商品が上記の表のリスク・リターンに該当するわけではありませんので参考程度に確認しておくと良いでしょう。
自分のリスク許容度を知ろう
今回の記事のテーマでもある投資におけるリスク許容度とは、収益(リターン)がマイナスになった場合に、どれくらい(のマイナス)までなら受け入れることができるかという度合いをいいます。
例えば、AさんとBさんがそれぞれ手元資金100万円を株に投資し、さまざまな要因で株価が下がり、現時点で20万円のマイナスが出ています。
Aさんは、「20万円のマイナスなら気にしない、しばらく保有しておこう」と、引き続き株を保有することにしました。
Bさんは、「20万円も損をしているなんて!もしかしたら今後もっと下がるかもしれないし、このタイミングで売却しよう」と、株を売却してしまいました。
AさんとBさん、それぞれ同じ20万円のマイナスですが2人の反応や行動は大きく異なります。
ここではAさんがリスク許容度が高く、Bさんはリスク許容度が低い、ということができます。
このことから分かる通り、人によってリスク許容度は異なり、リスク許容度を超えたマイナス(損)が生じると、不安になったりすぐさま売却してしまうといった行動が見られます。
投資を始める際には、ご自身のリスク許容度を知り、許容範囲内での投資が重要です。
自分のリスク許容度を知るためのポイント
自分のリスク許容度を知るために、いくつか確認したいポイントがあります。
それぞれの項目について、ご自身にあてはめながらリスク許容度を確認しましょう。
①年収
年収が高いと、リスク許容度も高い傾向があります。
②資産
保有資産が多いほど、投資に回せるお金が増え、リスク許容度も高くなります。
③家族構成
独身や夫婦2人暮らしなど、家族の人数がより少ないほど投資に充当できる余裕資金が多く、リスク許容度が高いです。
もちろん、家族が多くてもリスク許容度が高い人はおり、人それぞれです。
ただし、「投資・運用で大きなマイナスが出たときに影響を受ける人」が多ければ多いほど、「もしもの事態を考えると、大きなリスクは取れない」とする考え方も自然といえるでしょう。
④年齢
若ければ若いほど、投資におけるマイナス(損)をカバーできる時間の余裕があることから、年齢が若いほどリスク許容度は高い傾向にあります。
投資は「早く始めて長く続ける」といわれるように、時間を味方につけることでマイナスが出現するリスクを抑えられ、複利効果も大きくなります。
⑤性格・過去の投資経験
①~④の項目で比較的リスク許容度が高いとしても、小さなことが気になってしまうタイプや心配性だという方はリスク許容度がそこまで高くありません。
また、過去に投資経験があればリスク許容度は比較的高くなるものですが、大きく損をしてしまったことがあるなど、過去の投資経験が逆にリスク許容度を引き下げてしまうケースもありますので注意しましょう。
なお、上記はあくまでも一般論であり、年収が高くても投資には慎重(リスク許容度が低い)な方もたくさんいらっしゃいます。
リスク許容度は高ければ良いというものではなく、ご自身の状況や考え方に応じた投資を実践するための1つの指標と考えれば良いですね。
まとめ
リスク許容度は、明確な答えがないため曖昧でわかりにくいという意見もあります。
しかし、投資を行う上では無視できない項目の1つであり、ご自身のリスク許容度の範囲内で、さらに各商品のリスクとリターンを考慮して投資することが大切です。
どれくらいの資金を投資にまわすか、という点を始め、どれくらいのマイナス(損)が出たら売却(損切り)しようといったことは事前に決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
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