「ジュニアNISAは今年で制度が終わると聞いたけれど、使った方がいいの?」
最近、特に幼いお子様がいらっしゃるご家庭のお客様から、このようなご質問を受けることが増えています。
ジュニアNISAは2023年末で制度が廃止になります。
その経緯として、利用者数が乏しく制度が思うように広まらなかったからと言われていますが、「聞いたことはあるけれど仕組みがよくわからない」「手続きがめんどくさそう」という理由で利用してこなかったケースも少なくないでしょう。
いずれにしても、未成年者が非課税で新たな投資ができる制度は年内でひとまず終了です。
子ども名義で作るジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)、実際にどれくらい活用されているかというと、口座数では成人用NISA(一般・つみたての合計)の5%程度の数です(金融庁公表:2022年12月末時点)。
あまり広く活用されず終了を迎えることになりそうですが、制度廃止の目前である今年になって、注目されるようになってきました。
ジュニアNISAのおさらい
ジュニアNISAは、2016年にスタートした子どものための資産形成を応援する「未成年者少額投資非課税制度」です。
投資で得た利益や配当金・分配金に税金がかからず受け取ることができます
簡単に言えば成人用NISAの未成年者版と思っていただければよいでしょう。
なお、ジュニアNISAの制度などの詳細については、以下の記事を参考にしてください。
http://nisa-ideco-soudan.ashitaba-mirai.jp/2023/03/15/junior_nisa/
実は、ジュニアNISAは2023年末の制度終了に伴い、いくつかの変更点が発表されたことで、奇しくも注目を浴びるようになります。
それはなぜなのでしょうか?
制度廃止決定後から口座数が増え始めた理由
2020年の税制改正においてジュニアNISA制度の廃止が決まり、それに伴って制度廃止後の2024年以降はルールが一部変更されます。
主なルール変更は以下の2点です。
①2024年以降はいつでも非課税で払出しできる
そもそもジュニアNISAは、子供の進学や就職を見据えた将来のための資産形成を目的としているため、18歳までは投資したお金を引き出す(払い出す)ことができない決まりになっていますが、2024年1月以降はいつでも自由に非課税で引き出せるようになります。
例えば、18歳を迎える前の中学受験や留学などでお金が必要になった場合でもタイミングに合わせて使えるようになりますね。
子供の進路が多様化している時代、必要な時にジュニアNISAで積み立てたお金を自由に使えるのは親としては嬉しい変更点です。
ただし、払出しの際はジュニアNISAで保有している金融商品は一度に全てを解約しなければなりません。
それと同時にジュニアNISA口座も消滅します。
②18歳になるまで非課税で保有できる
ジュニアNISAは、非課税で運用できるのは投資した年から5年間です。
その5年の非課税期間が終了する年が2023年以降に到来する場合、子ども(口座開設者)が18歳になるまでは「継続管理勘定」という非課税の箱(枠)に移され、保有し続けることができるようになります。
もちろん運用も継続できるため、例えば子供が0歳の時にジュニアNISAで投資を始めると4歳の時に5年の非課税期間が終了しますが、その後「継続管理勘定」でそのまま保有し続けることができます。
つまり、最長14年間は非課税で運用することも可能です。
仮に14年間、80万円を預貯金で保有すると利息は約180円(年利0.002%税引後で計算)にしかなりませんが、ジュニアNISAで運用すればもう少し期待できそうです。
これらのルール変更により従来に比べて使いやすくなったと感じる人も出てきて、制度廃止決定後に、口座開設数が右肩上がりに増え続けている状況です。
ジュニアNISAをおすめしたい人
特に未就学の子どもがいる家庭には、今からでもジュニア NISA の活用をおすすめします
お客様からの話でよくあるのが
「祖父母や親族からのお年玉やお祝い金を子ども名義の銀行口座にコツコツ貯めています」
「現金を封筒に入れたまま家に置いています」
というケースです。
まさに子どもの将来のための貯蓄を実践されていることは素晴らしいことですが、すぐに使うお金なのかどうか少し考えてみてください。
おそらく早くても5年後、もっと先であれば10年~15年後に使うお金だったりしないでしょうか?
もしそうならば、一定期間動かさず眠らせてしまうかもしれないお金を預貯金や現金で長い間置いておいたとして、それは増えるのでしょうか?
筆者の体験談ですが、我が家の娘が誕生してからもらったお祝いやお年玉をコツコツ貯めて彼女が10歳の時に80万円になったのを機に、ゆうちょ銀行定額貯金(10年満期、金利0.14%)に全額預けました。
当時は金利が高い方で10年後にはそれなりに増えて学費の足しにできるだろうと楽しみにしていたのです。
娘が20歳の時に届いた満期案内の金額を見て愕然としたのを覚えています。
なんと利息が約9000円!
正直もっと増えているイメージを持っていました(計算すればわかることなのですが)。
10年前のあの時、一部のお金でも投資に充てていたらもう少し増えていたのではないかと今になって思っています。
これを教訓に、すぐさま娘名義のつみたてNISA口座を開設し、今は少額ですが毎月積立てを実践中です。
子どもの将来を見据えて長期投資で教育資金づくりや資産づくりを考えているご家庭には、金額の大小に関わらず、今からでもジュニアNISAの活用をおすすめします。
制度廃止間近の今から始めるメリットと注意点
【メリット】
・年内に80万円までの投資金額について18歳になるまで非課税で保有・運用が可能
・来年(2024年)以降はいつでも自由に非課税でお金を引き出せる
・子ども名義で投資機会をつくることで生きた金融教育ができる
従来の制度から使い勝手がよくなった点としては、子どもの進路に合わせて柔軟に資金を引き出せるようになったことが挙げられます。
また、ジュニアNISAの活用は手元資金を長期で上手に増やす目的もありますが、子どもが物心つく頃から投資運用に触れる機会づくりにもなります。
将来大人になってからも資産形成の手段として投資は必須になってくるでしょう。そのための教育に使える自分ごととしての「生の教材」になるとも筆者は感じています。
【注意点】
・2024年以降はジュニアNISA口座で新たな投資はできない
・18歳までに引き出す(払い出す)場合は一度に全部解約しなければならない
・途中で金融機関の変更や金融商品の変更はできない
2024年以降は未成年者が非課税で新たな投資ができる機会は失われます。
制度廃止までに投資した金融商品は途中で変更もできないため、長期保有する前提で、長い目で成長が期待できる投資先商品を選ぶこともポイントです。
まとめ
来年2024年からは新しいNISA制度がスタートする予定ですが、ジュニアNISAに代わる未成年者が使える同様の制度はなくなるため、残念ながら非課税での新たな投資はできなくなります。
未成年の子どもを持つご家庭は、今一度ジュニアNISAの活用を検討してみられてはいかがでしょうか。
ジュニアNISAを始めるにあたっての手続きや相談の窓口として「あなたにとってベストなプラン」を親身になって一緒に考え、長きに渡り運用の伴走をしてくれる先を選ぶことも大切な要素になってきます。
迷った時には、ぜひ、当センターのファイナンシャルプランナー(FP)へご相談くださいね。