国は、2024年からNISA制度を抜本的に新しくするなど、「貯蓄から投資へ」の流れをさらに加速させようとしています。
しかし、「投資」と聞くと「こわいもの」「もしかしたら大損するかもしれない」といった̠ように、マイナスのイメージを抱いている人も少なくありません。
投資と似た言葉に投機がありますが、それぞれの意味を正しく理解しているでしょうか。
今回は、投資と投機の違いについて確認しましょう。
投資と投機の違い
投資と投機の意味を考える際、明確な線引きがあるわけではありません。
しかし、資産運用を考える上で投資と投機の違いはきちんと理解しておくべきことであり、投資の本質や意味を理解することで、「投資は危ないから絶対にしたくない」といった誤解を解くことができます。
投資とはプラスサムゲーム
投資の定義は1つではないものの、「将来的な利益を見込んでお金を出すこと」と考えることができます。
言い換えると、将来何らかの価値を生み出すことに期待してお金を投じることともいえます。
投資先の金融商品としては株や投資信託、金などがありますが、投資して価値が高くなることを期待して(長期間)保有することも少なくありません。
よく、「投資はギャンブル」という人がいますが、価値が高くなることを期待して(ある程度の期間)保有し続けるという点も投資の特徴と考えることができ、時間を味方につけることで投資におけるリスクを小さくする力が働くことを覚えておきましょう。
ただし、どれだけ長期間、投資した金融商品を保有したとしても元本は保証されていないため、投資した金額以上のお金が返ってくることは約束されていませんので注意が必要です。
また、投資はプラスサムゲームと呼ばれます。
株式投資を例に考えると、社会が発展して企業が利益を得ることで、株を発行している企業が儲かり、さらに株を持っている投資家も豊かになります。
つまり、経済や社会そのもののパイが大きく広がっていくので、これをみんなで分かち合い共有するとみんなで豊かになることができ、これがプラスサムゲームです。
投機とはゼロサムゲーム
長期間保有することで価値の上昇を期待してお金を投じる投資とは異なり、投機は”機会”に投じる、と書くように、値上がりのタイミングを狙ってお金を投じることをいいます。
つまり、価格(値段)が上がるか下がるかに賭けて、相場(市場)の変動を利用する手法です。
価格が上がるか下がるかに賭けるため、投機の結果は早ければその日にわかり、数日後や数週間後に利益がもらえることが一般的です。
例として、パチンコやギャンブルは賭けた日に結果がわかり、勝った(儲けた)のか負けた(損した)のかがすぐにわかります。結果がその日にわかるという意味では、これらも投機に分類されます。
なお、一般的に投機で得られる利益はそれほど大きくありません。
しかし、すぐに勝った負けた(儲けた損した)がわかり、お金が手に入ることから、より多くのお金が欲しければさらに多くのお金を賭けるようになる人もいます。
投機するお金が大きくなればなるほど、損失も大きくなり、結果として「ギャンブルは怖いもの」というイメージが先行することになるのかもしれません。
また、レバレッジといって元手以上のお金を賭けることができる手法もあり、投機はリスクも大きい点を覚えておきましょう。
ちなみに、投機はゼロサムゲームです。経済や社会が発展するといったように、全体のパイが大きくなることがなく、限りあるパイをみんなで奪い合います。
こうなると、誰かが得をすれば誰かが損をする仕組みになっており、全員が豊かになることはありえないとわかるでしょう。
投機は絶対にしてはいけないもの?
投資はお金を投じたものの価値が上がることで利益を得るものをいい、投機はお金を投じたものの価格が上下に変動することで利益を得るものをいいます。
また、より長期で保有するものを投資、より短期的に利益を出すことを目指すものを投機と分類することもできます。
このことを知ると、「投機=悪」と考えるかもしれません。
しかし、ここでお伝えしておきたいのが、投機は決して悪いことではありません。
娯楽の一環でパチンコや競馬に興じる人もいるでしょうし、お小遣いや余剰金の一部で楽しむ範囲なら問題はありません。
また、株の短期売買(デイトレード)も保有期間の観点から考えると投機の一種と考えることができ、いくらかの利益を手にすることは可能です。
ただ、繰り返しになりますが投機はギャンブル要素が強く、手法によっては損失が大きくなりがちです。
そのため、これから投資を始める人や「投資ってこわいもの」というイメージを抱いている人は、長期的に利益を得ることを目指し、投機ではなく投資を実践することを意識してください。
投資の第一歩
投資のコツは時間をかけること、といっても過言ではないかもしれません。
時間をかける、つまり時間を味方にすることで投資におけるリスクを小さくすることができます。
世間では長期分散積立投資という言葉が注目されており、投資を始める人も確実に増えています。
ここで意識したいのが、投資は長期であればあるほどリスクが小さくなり、また利益を大きくできる可能性があるという点です。
その仕組みが複利効果です。
複利効果とは、投資したお金を運用して得られた利益を、さらに運用によって増やすことをいい、複利効果と投資期間は深く結びついています。
例えば、つみたてNISAは、これまで投資をしたことがない投資初心者でも活用しやすいと言われている国の制度です。
2023年時点の現行の制度では、つみたてNISAの非課税運用期間は20年であり、決して短期での売買を推奨していません。むしろじっくりと20年持ち続けることを意識したいものです。
冒頭で、「投資のコツは時間をかけること」と書きましたが、年単位、できれば10年20年といった期間で投資を継続することを念頭に置くと良いでしょう。
長期分散積立投資を実践しよう
投資の第一歩として、時間をかけて保有する「長期」目線が大切とお伝えしましたが、資産づくりのための投資に欠かせない要素は「時間(長期保有)」だけではありません。
投資の世界では、「卵を同じかごに盛るな」という格言があります。
もしも、手持ちの卵を1つのかごにすべて盛ってしまうと、かごを落としたときにすべて割れるかもしれません。
仮に、卵を複数のかごに盛っていれば、1つのかごを落としても他のかごの卵には何も影響がありません。
投資も同様で、1つの金融商品にすべての資産をつぎ込むのではなく、複数の商品に分散させてリスクを小さくすることが大切です。
なお、「分散」とは、商品を複数に分けるという意味もありますが、例えば投資先の地域を国内・国外に分けたり、先進国と新興国を組み合わせるという意味での分散も可能です。
また一度に全資産を投資に回すのではなく、タイミングを分けるという意味でも分散は有効でしょう。
また、長期・分散投資ができれば、積立も実践したいものです。
投資の成績は、口数(量)×価格で決まるため、実は「どれくらいの量を買えたか」という点も非常に大切です。
積立投資の考え方では、市況が悪いとき(相場が下がっているとき)には、むしろ多くの量を買えるため、市況の悪さを悲観する必要はありません。
下がったときにやめるのではなく、ここは「長期」目線を思い出しながら淡々と積立を継続しましょう。
「投資」を怖がらないで
投資と投機の意味を混同している人は多く、「投資は怖いもの」とばかり考えていては、資産運用の機会を逃してしまいかねません。
繰り返しになりますが、投資ビギナーこそ時間を味方につけた長期投資を実践して頂きたいと考えており、アクションを起こすことが大切です。
ただ、やみくもに投資を始めても、継続できなかったり損が出た途端に売却したりと、不安や心配も大きいでしょう。
そういった方にこそ、当センターをご利用頂きたいと考えています。
一方的な押し売りはなく、資産づくりのサポート役として1人ひとりの状況に応じた資産運用の方法をお伝えしています。
投資と投機の違いを理解したいまこそ、私たちと一緒に投資をスタートさせてみませんか?