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ジュニアNISAはいつまで?2024年以降はどうなる?

ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)は、未成年の資産形成を目的に2016年に創設された制度ですが、利用者が思ったように伸びず、2020年の税制改革で廃止が決定しました。

しかし、「今からでも活用できないか」と思っている方もいると思います。

この記事では、ジュニアNISAの購入期限や廃止後の取り扱い、今からジュニアNISAを運用するメリットを解説します。

ジュニアNISAについておさらい

ジュニアNISAとは、未成年を対象とした非課税投資制度であり、「NISA」の未成年版にあたります。

制度の趣旨は「非課税で金融商品を購入・運用・売却できる」というもので、NISAとほぼ同じです。

年間の購入限度額は80万円で、対象年齢は当初19歳以下まででしたが、2022年に成人年齢が引き下げられたことから、2023年1月1日以降は17歳以下が対象です。

ジュニアNISAの制度概要

・正式名称:未成年者少額投資非課税制度
・対象者:口座を開設する年の1月1日時点で17歳以下の人(2022年末までは19歳以下)
・運用期間:最長5年
・購入可能金額:1年につき80万円まで
・購入可能商品:株、投資信託、EFTなど

ジュニアNISAはいつまで?

ジュニアNISAは2023年末で廃止されることが決定しており、2024年以降は金融商品の新規購入ができなくなります。

また、ジュニアNISAの廃止に伴う代替制度の新設は現時点(2023年4月)では予定されていません。

そのため、ジュニアNISAを使いたい場合は、2023年中に金融商品を購入しておく必要があります。

ジュニアNISA廃止後にできること・できないこと

ここでは、2024年以降もできること、2024年以降はできないことの2つに分けてそれぞれ解説します。

2024年以降もできること

2024年以降もできることは主に以下の3点です。

・購入済み金融商品の非課税保有
・ロールオーバー
・払出し

ジュニアNISAが廃止になっても、保有している金融商品がすぐさま売却されたり、一般口座に移されたりするわけではありません。

まず、2024年以降に最長5年間の非課税期間が満了していない場合は、その非課税期間が満了まで継続し、最長5年間の非課税期間が満了してもロールオーバーが可能で、18歳になるまで引き続き非課税保有が可能です。

また、払出しについては、2024年以降は払出し条件が撤廃され、保有している金融商品および金銭の全額について、年齢や条件を問わず払出しが可能です。

2024年以降はできないこと

2024年以降にできなくなることは、以下の2点です。

・金融商品の購入
・金融機関の変更

先述の通り、2023年末で新たに金融商品を購入することが可能な「投資可能期間」が終了するため、2024年以降は新たな金融商品の購入はできません。

また、金融機関の変更は、そもそも変更手続き自体が「開設しているジュニアNISA口座を廃止してから、ほかの金融機関で再開設する」という手順であるため、実質的に不可能といえるでしょう。

ロールオーバー後はどうなる?

ジュニアNISA廃止後にロールオーバーをした場合、保有している金融商品は「継続管理勘定」という非課税枠に移されます。

この継続管理勘定というのは、ジュニアNISA廃止に伴って新設されたもので、2024年から2028年までの間にロールオーバーされる金融商品専用を18歳まで保有するための受け皿と考えるとわかりやすいです。

なお、継続管理勘定に保有している状態では、新規購入はできませんが、売却はできることも覚えておきましょう。

今からジュニアNISAを活用するメリットは?

ジュニアNISAは2023年末で終わってしまうとはいえ、非課税のまま18歳まで保有できるメリットは非常に大きいため、今からでも活用したいところです。

今からジュニアNISAを活用する2つのメリットを紹介します。

①長期的な非課税運用枠として使える

2023年末で新規の購入はストップしますが、購入済みの金融商品は18歳まで保有し続けられます。

仮に今からジュニアNISAを初めて今年だけ商品を購入したとしても、最大80万円の金融商品を最大18年間運用できます。

非課税運用は一般NISAやつみたてNISAでも可能ですが、それぞれ上限額があるため、子どものために非課税運用をするなら活用しない手はありません。

なお、一般NISA・つみたてNISAは2024年から新NISA制度に改正される予定で、その場合の年間の投資限度額はつみたて投資120万円・成長投資枠240万円の合計360万円です。

②複利効果で効率的に資金を増やせる

ジュニアNISAで購入可能な商品の多くは「複利」という方式で運用されます。

複利とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資するというもので、例えば、100万円に対して3万円の利益が出た場合、それらを合計して103万円が再度投資に回ると考えてください。

この複利の効果は運用期間が長くなるほど大きくなるのが特徴です。

仮に、80万円を15年間、年利3%で運用した場合を考えてみましょう。今回は、利益を合算するタイミングを半年ごととします。

80万円を15年間、年利3%で運用した場合のシミュレーション
年数 元利合計 利息 実質金利
購入時 800,000
  812,000 12,000 1.50%
1年目 824,180 24,180 3.02%
  836,543 36,543 4.57%
2年目 849,091 49,091 6.14%
  861,827 61,827 7.73%
3年目 874,755 74,755 9.34%
  887,876 87,876 10.98%
4年目 901,194 101,194 12.65%
  914,712 114,712 14.34%
5年目 928,433 128,433 16.05%
  942,359 142,359 17.79%
6年目 956,495 156,495 19.56%
  970,842 170,842 21.36%
7年目 985,405 185,405 23.18%
  1,000,186 200,186 25.02%
8年目 1,015,188 215,188 26.90%
  1,030,416 230,416 28.80%
9年目 1,045,873 245,873 30.73%
  1,061,561 261,561 32.70%
10年目 1,077,484 277,484 34.69%
  1,093,646 293,646 36.71%
11年目 1,110,051 310,051 38.76%
  1,126,702 326,702 40.84%
12年目 1,143,602 343,602 42.95%
  1,160,756 360,756 45.09%
13年目 1,178,168 378,168 47.27%
  1,195,840 395,840 49.48%
14年目 1,213,778 413,778 51.72%
  1,231,984 431,984 54.00%
15年目 1,250,464 450,464 56.31%
(単位:円)

5年で約16%、10年で約34%、15年で約56%と、年を追うごとに複利効果が大きくなっているのが分かります。

ジュニアNISAの非課税枠は子ども1人につき1枠ずつ使えるため、大学の入学費用や成人後の新生活費用としても活用するのも一案です。

ジュニアNISAは今からでも活用可能な制度

「今からジュニアNISAを初めても大きなメリットはないだろう」と考えていた方もいるかもしれませんが、子ども1人ずつにつき18歳まで非課税で運用できるのは大きなメリットですし、複利運用の商品を選べば将来必要なお金をしっかりと備えることもできます。

今からでも最大80万円まで非課税で運用できるため、ジュニアNISAの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

筆者:NISA・iDeCo相談センター編集部