iDeCo

iDeCo?個人年金保険?私はどちらを始めるべき?

豊かなセカンドライフの資金準備として、iDeCoや個人年金保険の活用を考える人は多く、それぞれの特徴やメリットを比較したこともあるのではないでしょうか。

今回はiDeCoと個人年金保険の違いにスポットを当ててみたいと思います。

老後資金準備は自助努力が不可欠

老後資金を準備する上で、無視できないのが公的年金です。

自営業者は国民年金、会社員は国民年金と厚生年金を公的年金として受け取るものの、公的年金だけではセカンドライフに必要な費用のすべてをカバーできません。

どれくらい不足するかは、公的年金として受け取る金額や、生活水準(1か月の支出額)を目安に算出する必要があり、人それぞれ異なります。

しかし、自分自身で老後資金を準備する必要があることには変わりなく、まさに自助努力が求められています。

今回のテーマであるiDeCoや個人年金保険は、公的年金の不足を補うために加入者(契約者)が自ら加入するものであり私的年金と言われています。

「老後破産なんて」と大げさに思うかもしれませんが、現役時代から計画的な老後資金準備が求められる時代であること、さらに私的年金としてiDeCoや個人年金保険を活用した自助努力が求められる点を理解しましょう。

iDeCoと個人年金保険の違い

iDeCoと個人年金保険の共通点は、老後資金を準備するために活用するものである点です。

しかし、iDeCoは国民年金基金連合会が実施主体となっている制度であり、個人年金保険は民間の各保険会社が販売している保険商品です。

また、加入後の運用方法という観点から考えると、iDeCoは掛け金をどの商品で運用するか自分自身で決めなければならず、利回りやご自身の資産配分の状況を確認しておく必要があります。

一方の個人年金保険は、契約者が運用先を選定することはなく、運用はあくまでも保険会社に一任します。

こう聞くと、個人年金保険のほうが運用先の選定などがないため楽だろうと思われるかもしれませんが、昨今のインフレを加味するとiDeCoの魅力は高いといえます。

個人年金保険は、契約時に、将来受け取る年金の総額が決まっている点が魅力だと考えられる反面、インフレが進行しても受取額が増額されるわけではありません。

iDeCoは、元本割れリスクがある一方で、インフレに強い運用先を選ぶなどすることで資産を大きく育てられる可能性があります。

iDeCoと個人年金保険、それぞれに良さがあり、それぞれの特徴と違いは必ず理解しておきましょう。

iDeCoと個人年金保険はどちらを選べばいい?

私たちが日々ご相談を受ける上で、「iDeCoと個人年金保険のどちらがお得ですか?」「iDeCoと個人年金保険のどちらがおすすめですか?」といったご質問を頂くことは多く、老後資金についての関心の高さを感じます。

しかし、残念ながらこれらの質問の答えとしては、相談者さま次第と言わざるを得ません。

なぜなら、iDeCoと個人年金保険の特徴は異なり、ご相談者さまのご意向や資産状況、投資経験やリスク許容度などから判断しなければならないからです。

ここでは一例として、より個人年金保険の活用が向いている人、よりiDeCoの活用が向いている人の2つの観点から解説します。

個人年金保険の活用が向いている人

投資リスク(元本割れ)が怖い人

先述の通り、iDeCoには投資リスクがあり元本は保証されていません。

そのため、市況や運用状況によっては、運用実績が拠出金額(積み立てたお金)を下回る可能性があります。

長期のつみたて投資を実践することで、元本割れを起こすリスクをできるだけ小さくすることはできますが、「iDeCoを続けておけば絶対に元本を上回る」といったことは約束されていませんので、元本割れリスクが怖いと感じる人は個人年金保険がおすすめです。

個人年金保険も、契約期間中の中途解約時は元本割れを起こすことがあります。

個人年金保険は、解約すると解約返戻金がありますが、契約年数に応じて解約返戻金の金額は異なります。

契約後すぐに解約すると、解約返戻金が既払込保険料を下回ることがほとんどですので注意しましょう。

つまり、個人年金保険は年金受給開始年齢まで契約を継続していれば元本割れを起こしません。

投資リスクがないことが、iDeCoとの相違点です。

将来の受給額がわからないのは不安な人

個人年金保険は、毎月(毎年)の保険料を保険会社が運用し、契約時に決めた年金額を必ず受け取ることができる保険です。

一方、iDeCoは加入者がどのような商品で運用するのかによって運用実績は異なり、加入時には「iDeCoを活用してどの程度の老後資金を準備できるのか」という点は誰にもわかりません。

いくら公的年金を受給できるとはいえ、将来の受け取り額がわからなければ老後のライフプランが立てにくいと感じる人もおり、個人年金保険に加入して将来の受給額を決めておくのも一案です。

保険料をクレジットカード払いにしたい人

個人年金保険の商品によっては、保険料をクレジットカードで払えることがあります。(※商品によって異なるため、詳細は保険会社にお問い合わせください。)

保険料としてお金を支払って積み立てていくと同時にクレジットカードのポイントも付与されるため、クレジットカード払いはよりお得に感じるでしょう。

なお、iDeCoの掛け金はクレジットカード払いができません。

iDeCoの活用が向いている人

一方、老後年金を活用する上で個人年金保険よりもiDeCoの積極的な活用を検討するべき人もいます。

自営業者

自営業者など国民年金の第1号被保険者は、iDeCoの掛け金限度額は月額68,000円です。

年換算では816,000円にもなり、会社員や公務員と比べてその分所得控除が大きくなります。

自営業者は、厚生年金がなく公的年金が手薄であり、まさに自助努力で老後資金を準備する必要性は高く、iDeCoの活用は積極的に検討したいものです。

強い強制力でより資産を増やしたい人

先述の通り、個人年金保険も毎月(毎年)保険料を積み立てていきますが、いざというときには解約して解約返戻金を受け取ることも可能です。

しかし、iDeCoは原則として60歳まで受け取ることができず、お金を貯める強制力は非常に強いです。

言い換えると、iDeCoを活用すると、個人年金保険のように途中解約・減額することなく老後資金を確保できます。

また、個人年金保険とは異なり、iDeCoは加入者が自分自身で商品を選択して運用する必要があり、運用次第ではより多くの老後資金を準備できる可能性がある点も覚えておきましょう。

長期投資のメリットを享受したい人

将来の受け取り金額が確定していない点をデメリットと感じるか、運用次第でより多くのお金を受け取ることができる点をメリットと感じるかは人それぞれです。

iDeCoは、早期に加入すればするほど複利運用の効果を得やすく、掛け金の所得控除や運用益が非課税になる恩恵も大きくなります。

また、長期にわたって投資を続けることで投資リスクをできるだけ小さくすることができることもあり、長期投資ならではのメリットを活用したい人はiDeCoを活用すると良いでしょう。

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iDeCoと個人年金保険の併用も視野に入れた資産形成を

今回はiDeCoと個人年金保険を比較しながら、それぞれの特徴やメリットなどを併せて解説しました。

「iDeCoと個人年金保険はどちらが良いか」「どちらを使うべきか」という質問をよく頂きますが、それぞれのメリットを活用するためにも併用することももちろん可能です。

例えば、将来の受け取り額が確定している個人年金保険に加入し、老後資金のベースをつくり、iDeCoに加入して所得控除の恩恵を受けながら(長期)投資・運用で資産額をのばしていくことも可能です。

当センターでは、ご相談者さま1人ひとりに応じた最適な資産形成方法をご提案させていただいています。

iDeCoの加入時のサポートもしていますので、「どうしたらいいのかな」と将来のお金のことで迷われている方はお気軽にご相談ください。

執筆者:NISA・iDeCo相談センター舘野聡子