NISA

一般NISAとは?つみたてNISAとの違いを含めた概要解説

一般NISAとつみたてNISAは、どちらも少額投資を対象とした非課税制度ですが、制度の趣旨や対象商品、制度の利用期間などに違いがあります。

一般NISAは、株式や債券、投資信託、ETFなどを広く購入でき、投資の入口にぴったりな制度です。

この記事では、一般NISAについて、対象商品や非課税期間、限度額、つみたてNISAとの違いなどを詳しく解説します。

一般NISAとは?

一般NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度のうちの1つです。

専用の非課税口座である「NISA口座」を開設し、口座内で金融商品を購入・運用することで生じる利益や売却時の譲渡益などが非課税になります。

通常、株や投資信託で得た利益には20.315%の税金がかかるため、税金面でかなり優遇された制度であることが分かります。

しかし、NISA口座は1人につき1つしか開設できず、購入できる限度額も決まっています。

まずは一般NISA制度の基本情報を確認しましょう。

一般NISAの対象商品

一般NISAで購入できる商品は以下の通りです。

一般NISAの対象商品

 ● 国内株式(上場株式)
 ●国内債券(上場株式)
 ●国内EFT(上場投資信託)
 ●海外EFT(上場投資信託)
 ●ENT(上場投資証券)
 ●国内REIT(不動産投資信託)
 ●海外REIT(不動産投資信託)
 ●新株予約権付社債(ワラント債)

一般NISAの対象は、比較的信頼性の高い金融商品です。個別株も購入できますが、上場企業のものに限られています。

一般NISAで購入できない商品

 ● 非上場株式
 ● 預貯金
 ● 債券
 ● 公社債投資信託
 ● MMF・MRF
 ● eワラント
 ● 上々株価指数先物
 ● FX(外国為替証拠金取引)
 ● 金・プラチナなど

非上場株は一般NISAの枠では購入できません。

また、投資性の低い預貯金や債券も対象外となっているほか、現物を取り扱う先物取引や金・プラチナなども対象外です。

非課税期間と限度額

一般NISAは、運用期間と購入額に以下の制限が設けられています。

一般NISAの制限

 ● 口座の数:1人につき1口座
 ● 非課税運用可能期間:最大5年
 ● 購入可能上限額:年間120万円で合計600万円

非課税期間は運用開始時から5年間で、途中中断できません。

例えば、2023年に運用を開始した場合、2027年までが対象です。

また、上限金額は1年あたり120万円で、購入するタイミングに制限はありません。つまり、上限額以下であれば、一度にまとめて買っても複数回に分割して買ってもOKです。

非課税期間終了後は最大5年のロールオーバーが可能

ロールオーバーとは、非課税期間終了後に、NISA口座で保有している金融商品を一定期間非課税で保有し続ける制度です。

ロールオーバーで保有できる期間は最大5年間で、ロールオーバーする金額に上限はありません。

一般NISAで金融商品を買う手順

一般NISAで金融商品を購入するには、金融機関でNISA口座を開設する必要があります。NISA口座開設には、以下の書類が必要です。

NISA口座開設に必要な書類

 ● 非課税口座開設届出書
 ● 本人確認書類
 ● マイナンバーを確認できる個人番号記載書類

開設時はマイナンバーが必要であることを覚えておきましょう。

つみたてNISAとの違いは?

つみたてNISAと一般NISAの大きな違いは、購入できる金融商品の種類と上限金額、運用可能期間の3点です。

つみたてNISAは、購入できる商品が長期の積み立て・分散投資に適した一部の投資信託に限定されており、購入可能上限額は1年あたり40万円、運用可能期間は最長20年となっています。

  一般NISA つみたてNISA
対象商品 国内株式(上場株式) 国内債券(上場株式) 国内EFT(上場投資信託) 海外EFT(上場投資信託) ENT(上場投資証券) 国内REIT(不動産投資信託) 海外REIT(不動産投資信託) 新株予約権付社債(ワラント債) 長期の積み立て・分散投資に適した一部の投資信託 (詳細は金融庁のWebサイトを参照)
購入可能上限額 年間120万円 (合計600万円) 年間40万円 (合計800万円)
運用可能期間 最長5年 最長20年

なお、一般NISAとつみたてNISAは同時に運用できず、どちらか一方のみを選ぶ必要があります。

一般NISA制度はいつまで?新NISAへの移行はできる?

これから一般NISAを運用する場合、2023年末で制度が終了することを知っておく必要があり、2024年以降は「新NISA」という新しい制度がスタートします。

さらに、勘違いしやすいこととして、現行の一般NISAと新NISAは決して連続した制度ではなく、別の制度であるということです。

ここでは、一般NISAと新NISAの違いと、制度変更に伴う注意点を解説します。

一般NISAと新NISAの違い

新NISAは現行の一般NISAとさまざまな点が異なります。そのため、現行の一般NISAありきで考えるのではなく、まったく新しい制度として考えましょう。

新NISAの制度概要

● 購入可能商品
つみたて投資枠:長期の積み立て・分散投資に適した一部の投資信託
成長投資枠:上場株式や投資信託など

● 購入可能上限額
つみたて投資枠:年間120万円
成長投資枠:年間240万円
両枠合計:1,800万円

● 運用可能期間
無期限

新NISAは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠から構成されています。

また、それぞれの枠に年間の購入可能上限額が設定されていますが、新NISA全体の購入可能上限額は1,800万円で、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の合計が1,800万円です。

なお、現行の一般NISAは運用可能期間が最長5年ですが、新NISAは運用可能期間に上限がなく、無期限の保有が可能になる点も大きな特徴といえるでしょう。

新NISAへの移管はできない

ここで注意したいのが、現行の一般NISAで購入した商品を新NISAへ移管・ロールオーバーができないことです。

現行の一般NISAと新NISAはあくまで別制度なので、購入した商品の管理も別になります。現行の一般NISAの非課税期間が終了したあとにロールオーバーすることもできません。

あくまで新NISAは現行のNISA制度とは別で、口座や商品の取り扱いも異なると理解しておきましょう。

 

今から一般NISAを始めるなら新NISAとの兼ね合いを考えて

一般NISAは運用益や譲渡益などが非課税になる少額の非課税投資枠です。

投資を始める上で活用しない手はなく、これから投資を始めるならまずNISA制度の活用を検討することが大切です。

しかし、2024年からは新NISAが始まるので、「新NISA制度のスタートを待つべき?」などと考えるかもしれません。

制度の過渡期は選択肢が増えるため、おのずと制度の活用方法に悩む人が増えます。

当センターでは、NISA制度の過渡期における制度の活用方法などを、しっかりとご説明した上でNISAを始める方の長期的なサポートをさせて頂いていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

筆者:NISA・iDeCo相談センター 編集部